酔いつぶれた友人を送っていかないと「犯罪」になるって本当?
ちびっ子や病人を世話するひとは「保護責任者」と呼ばれ、世話をしないと「保護責任者遺棄罪」になる。泥酔しているひとも保護の対象となり、放置すると5年以下の懲役と重い罰が科せられる。ベンチで寝たまま放っておけば、脱水症状や凍死など、死に至ることもあり、放置したひとは「遺棄等致死傷」でさらに重い刑が待っている。酔いがさめるまでつきあうか、家まで送り届けないと犯罪者になってしまうのだ。
乳幼児や病人など、自力で活動できないひとを放っておくと、それだけで罪に問われる。モラル以前に、刑法で定められた「罪」だからだ。大きく3段階にわかれ、程度の軽い順に紹介しよう。もっとも起きやすいのが「遺棄(いき)」だ。
・刑法・217条(遺棄) … 老年、幼年、病気のひとを遺棄(いき)すると1年以下の懲役
遺棄とは、助けを求められているのに無視したり、危険が発生するとわかっている場所に連れていくことを意味し、知り合いや血縁者に限らない。町なかでケガ人や具合が悪いひとに助けを求められたのに「忙しいので」と断ると、この罪に問われる可能性がある。
家族や親族、看護師など職業的に世話をする義務のあるひとはさらに重い「保護責任者遺棄等」に問われる。これは刑法・218条に定められ、遺棄に加えて、
・「保護」しなかった者は、3ヶ月以上5年以下の懲役
と定められている。保護は「生存に必要な措置」の意味で、たとえば赤ちゃんなら「おむつを替える」「ミルクを飲ませる」などが含まれ、なにもしない「遺棄」よりも積極的な行動が求められている。この罪は泥酔したひとにも当てはまり、一緒に飲んでいた仲間は「保護責任者」と扱われるのだ。
もし酔いつぶれて寝てしまったひとがいたら、
・遺棄 … そのうち酔いが冷めるだろうから、放っておこう
・保護責任者遺棄 … オレもう帰るから。あとは知らない
となってしまうので、安全な場所で回復するまでつきあうか、家まで送り届ける必要があるのだ。
■酔っ払いが転ぶと「遺棄等致死傷」?
もし、酔いつぶれたひとが亡くなってしまったらどうなるのか? いわゆる急性アルコール中毒はもちろん、公園のベンチで寝てしまったままなら脱水症状や凍死の可能性も生まれるので、知っていたのに放っておくとさらに重い罪に問われる。
・刑法・219条(遺棄等致死傷) … 遺棄、保護責任者遺棄で死傷させた者は重い罪で初段する
ケガをした場合も含まれるので、まっすぐ歩けない状態のひとを一人で帰し、途中で転んでケガをしたら、「帰らせた者」がこの罪に問われるのだ。
町なかで、見ず知らずのひとが寝込んでいたらどうするべきか? 倫理的には救いの手をさしのべるべきだが、繁華街には多くの泥酔者がいるので、とてもじゃないが手が足りない。法律的にも「保護責任者」とは言い切れないので、この罪に問われる可能性は低い。ただし、救いを求められたのに無視はNGなので、状況をみて警察か救急に連絡するのがよいだろう。
遺棄等致死傷は、懲役〇年・罰金いくらではなく、「重い罪」とだけ記されていることからも、まさに重罪。コンパで「沈没」はある意味あたりまえの出来事なので、置き去りにせず最後までつきあう覚悟で参加しよう。
■まとめ
・ちびっ子や病人の「助けを求める声」を無視すると、遺棄罪になる
・飲み会に参加したひとは、酔いつぶれたひとを「保護」する義務がある
・泥酔者を保護せず死傷させると、遺棄等致死傷で重罪になる!
