1980年代の書店文化を牽引してきたリブロ池袋本店の閉店まで、残り2週間を切った。作家や読書人に愛された店だけあって、直前まで有名作家のサイン会が予定されている。

2015年7月20日に営業を終了することが発表されたのは6月初旬のこと。あれから1カ月が経過したが、新刊発売イベントが多数開催された。ランドマークともいうべき「光る柱」に著者たちが記念の落書きを残し、その数は日を追うごとに増えている。


リブロ池袋本店エントランスにある「光る柱」(編集部撮影)

スポーツ界を代表して長友選手がお忍びで来店

LIBROのロゴの左上にあるのは、セリエAのインテル・ミラノに所属する長友佑都さんのサイン。7月1日にお忍びで来店し、「感謝!」という言葉をさらっと書いて去っていった。ほんの一瞬の出来事だった。


出版関係者の話によると、サイン会などの行事があったわけではなく、「自分の本を売ってくれたリブロにお礼がしたい」という気持ちから練習の帰りに立ち寄ったそうだ。当日の様子を彼自身がツイートしている。

先日入籍を発表したタレントの眞鍋かをりさんは、6月12日に行った「『眞鍋かをりの世界ひとり旅手帖』刊行記念サイン会」のときにサインしていった。左下の動物のキャラクターが可愛らしい。


その右隣にあるのは、漫画家の吾妻ひでおさんの筆。


Jタウンネットが来店したのは7月7日の夜。同じ日に落書きしたのは経済小説「ハゲタカ」の著者である真山仁さん。「お世話になりました その魂は不滅です!!」というメッセージから律儀さが伝わる。

漫画家の江口寿史さんらのイラスト入りサインも右隣にある。


ロゴの左側に視線を移すと、作家の高橋源一郎さんや薬丸岳さん、社会学者の古市憲寿さんといった面々の名前とメッセージがある。

「セゾンの時代が閉じる...」の言葉を残したのは、東京大学名誉教授の上野千鶴子さん。彼女は1991年に発刊された「セゾンの発想 マーケットへの訴求」(リブロポート)の著者の1人に名を連ねている。同書は公刊社史の発想編というべき性格の本で、第一章「イメージの市場――大衆社会の『神殿』とその危機」の執筆を担当した。セゾングループのCI戦略を緻密に分析・解説している。


閉店に向けて熱気はさらに高まる

光の柱を囲むように設置されたディスプレイには、書店員が選んだ「今も心に残るこの一冊」が展示されている。現役スタッフだけでなくOBの棚も用意されている。本だけでなく人を大切にする書店だったのだと感じる。


評論家・植草甚一さんの「ワンダー植草・甚一ランド」は売切中だった。7月20日までに入荷されることを願う。


7月8日に大沢在昌さん、7月17日に北方謙三さんのサイン会がそれぞれ予定されている。既に30名ほどの落書きが残されているが、その数はさらに増えるのではないか。


閉店時刻の21時となり、売場からぞろぞろ客が退出していく。児童書コーナー「わむぱむ」の前に立っていると、1組の家族連れが目の前を通り抜けた。小学校低学年らしき少女は声を弾ませながら、次のような会話を両親と交わしていた。


「あのねママ、あたしこんな願い事を短冊に書いたの。『本をいっぱい読めますように』『漢字をたくさん覚えられますように』『成績が良くなりますように』って。叶うといいな」

「よくばりね」と微笑みながら母親は娘をなでた。彼女が大きくなり、七夕の日にリブロ池袋本店を思い出す瞬間があるだろうか。