【2015インターハイ】代表校レポート|最高峰の舞台で戦う姿勢を高めた東福岡。昨年とは異なるスタイルで連覇を狙う
【2014インターハイ】前回決勝をプレーバック
過去、東福岡が選手権やインターハイで頂点を極めた年には、必ず強力なアタッカー陣を有していた。1997年度のMF本山雅志(現鹿島)やMF古賀誠史(元福岡など)をはじめ、98年度のMF宮原裕司(元名古屋など)、FW山形恭平(元福岡など)、そして昨年のMF中島賢星(現横浜)に増山と、全国的にも知名度の高い顔ぶれが並ぶ。
しかし、「去年みたいにサイドをバンバン突破できるわけではない」と、主将のMF中村健人が話すように、今年のチームには全国制覇当時のような圧倒的な個の力で勝負できる選手は不在。だからこそ、ピッチに立つ11人全員で戦うことが今年の生命線になる。
「今年はみんなで攻撃をして守備をするチーム。守備に関しては、本当にみんな頑張ってやってくれている」
U-18日本代表GKの脇野敦至が今年のチームをこう評するように、全員攻撃・全員守備でインターハイ出場の切符を掴んだと言えるだろう。
しかし、今年の東福岡が最初からこのような結束力を備えて順調に勝ち上がってきたのかと言えばそうではない。新チームには昨年からのレギュラーである脇野や中村がいたものの、それ以外は昨年のAチームの試合にまったく出ていないメンバーが名を連ねた。
九州新人戦はベスト4に進出したが、経験値の低さを露呈。戦う姿勢も希薄だった。そんななかで迎えた高円宮杯U-18プレミアリーグWEST開幕戦のC大阪戦では、6失点を食らい大敗。チームは早々と岐路に立たされた。すると、この試合を境に選手たちが変化を見せる。
「みんなが練習から意識が変わった。一人ひとりが局面で負けないという気持ちが出てきて個々を高め合えた」(中村)
「空中戦は中盤から下のDF陣は、みんなしっかり練習をしていたので勝てるようになったし、日頃から走り込んでいるので試合の後半になっても相手より走れている。そこは変わってくれたかなと思う」(脇野)
ここから戦う姿勢が生まれるようになったチームは一気に成長。プレミアリーグも2節以降は4勝1分1敗の好成績を収め、7節終了時点では高体連最高位の4位に位置するまでとなった。「新人戦と比べたら戦えるチームになった」と志波芳則総監督もチームの成長に目を細めた。
チーム全体のレベルアップという意味では、昨年までAチームで出番のなかった選手たちがプレミアリーグという舞台でハイレベルな相手との実戦を積めたことも大きい。昨年はBチームで実力を磨いたMF毎熊晟矢などの3年生や、U-16日本代表経験を持つMF藤川虎太郎など能力の高い2年生が全国のトップレベルを体感した。
「プレミアリーグのレベルを他の選手が知らなかった。C大阪戦で負けたことで気付いて、自分たちの目標はここだという基準が上がった」と中村が言うように、高校年代最高峰のリーグを経験したことで個々人のレベルアップに手応えを掴んでいる。
こうして戦えるチームに変貌を遂げた『赤い彗星』だが、得点力というところには課題がある。
「シュートの場面を作っても得点を取りきれないので、そこが今のチームの課題だと思う」と脇野が話すように、プレミアリーグ再開直後の7節・大分U-18戦でも最後までネットを揺らせなかった。
「シュートまで行ききれていないところから、(攻撃の)手間が掛かっている。そこに思い切りの良さがない」と森重潤也監督も課題を口にする。ひとりで局面を打開できるアタッカーを擁しているわけではない。それだけに今後はサポートの距離感などを修正することは必須。また、184センチの大型ストライカー餅山大輝の爆発も、得点力アップのためには欠かせない要素となる。
「プレミアリーグは総体までにあと2試合あるのですが、そこで自分たちの目指すレベルの基準を上げ、総体はプレミアの舞台で戦っている差を見せたい」
主将の中村がこう話すように、東福岡は大会までの間にさらなる成長を遂げるつもりだ。
「目標は連覇じゃない」と県予選前に森重監督は話していたが、プレミアリーグで得た経験を活かせれば2連覇は十分に射程圏内にあるはずだ。それだけに、この7月をどう過ごすかが連覇のカギを握ることになる。
取材・文:松尾祐希(フリーライター)
