個性あるパフォーマンスが魅力の「よさこい」は、高知の民謡がルーツで、今や全国各地で見られるようになっている。
半纏(はんてん)の裾を長くした長半纏が衣装の基本形だが、ワンピースやパンツを取り入れたタイプも存在する。踊りも衣装も自由――。それがよさこいの人気を支えている。

どさんこ娘を虜にしたJR九州のよさこいチーム

札幌市で毎年開催される「YOSAKOIソーラン祭り U-40」は、踊り手が40人未満のチームを対象としたコンクールだ。2015年6月13・14日に開催された第24回大会は、福岡からやってきた「JR九州櫻燕隊(おうえんたい)」が優勝した。

ネットでは彼らの衣装のカッコよさに注目が集まっている。

櫻燕隊が結成されたのは2011年の九州新幹線の全線開業がきっかけ。駅乗務員や運転士、車掌、客室乗務員など、多様な職種の男女で構成されている。

熱い視線が注がれているのは男性演舞者の衣装だ。鉄道員の制服をモチーフにしながらも、上着の丈は膝下まである。学生応援団に若干似ているが、よりスタイリッシュなデザインとなっている。
「軍服みたい」「銀河鉄道999の車掌さんを思い出した」など感想は様々だが、好印象な点は共通している。背中の「JR」の文字と帽子の「九」の文字が光る。

かごしま春祭大ハンヤ2015 JR九州櫻燕隊(ウォーターフロントパーク会場)(YouTubeより)

衣装以上にしびれるのが演舞だ。
一瞬の油断が大事故につながりかねない鉄道業界。多くの人命を預かる仕事に携わっているだけあって、踊り手の動きは見事なほど統率がとれている。そこに九州人の勇ましさが加わり、艶のある演技に仕上がった。
ハムストリングと股関節に負担がかかりそうな動きで、踊り終えた後の疲労は相当なはずなのに、クールな表情は終始変わらない。

よさこい演舞を見慣れた観客からも「素敵...」の声が上がり、オマージュを披露する人まで現れている。

こんな素敵な人たちが動かしている九州新幹線に一度乗ってみたい――。そう思わせるくらい、パワーのある集団だ。