19日、東京・日の出桟橋で行われた訓練で、発砲しながら下船してきたテロリスト役の隊員を逮捕する警官隊(撮影:吉川忠行)

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東京都港区の日の出桟橋(さんばし)で19日、国際的なテロリストが上陸するとの想定で、警察や入国管理局、船舶会社などが連携し、今年で3回目となる官民合同のテロ対策訓練が行われた。

 訓練は「某国から東京港に入港する外国旅客船に、国際テロリスト10数名が乗船しているとの通報を受けた」との想定で、正午から同桟橋で開始された。旅客船から下船してきた乗客に対する入国審査中に、不審物を所持するテロリストに扮した隊員を税関職員が発見し、警察官らが身柄を拘束。相前後して、出迎えに来た車両をパトカーが阻止。警官隊が車を包囲し、車内の仲間も捕らえられた。

 その後、発砲しながら下船してきた残りのテロリスト3人が、停泊中の水上バスを乗っ取った。海上保安官が桟橋と巡視艇の双方から水上バスに突入し、全員が逮捕された。逮捕後、残された不審物を警視庁の爆発物処理班が処理し、旅客船の船内を海上保安官や入国管理官らが合同で調べ、訓練を終えた。

 今回の合同訓練には警察官や海上保安官ら160人が参加、警察車両など10台、巡視艇や旅客船など9隻が投入された。主催は、都港湾局や警察・消防などで構成する東京港保安委員会と、海上保安庁の東京海上保安部長を中心とする東京港危機管理チームで、いずれも2004年1月にテロの水際対策と危機管理体制を強化する目的で設置された。

 訓練終了後、西口政文・東京海上保安部長は「入国審査からテロリストの逮捕、旅客船の検索と、一連の流れを訓練でき、より実戦に近いものになった。首都圏に近い東京港はテロの標的になってもおかしくない。日頃の活動での連携を通じてテロの抑止に努めて欲しい」と訓示を述べた。

 今後、都ではテロに対する水際での保安対策の充実をはかるため、港湾作業員などを対象とした講習会や合同訓練などを行っていくという。【了】

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