児童労働に反対する「グローバルマーチ」代表を務める活動家カイラシュ・サティヤルティさん(右)と、元児童労働者のスマン・クマール・マハト君(撮影:佐谷恭)

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児童労働に反対する「グローバルマーチ」代表を務める活動家カイラシュ・サティヤルティさん(53)が8日、東京都豊島区の立教大学池袋キャンパスで講演した。同大学大学院21世紀社会デザイン研究科が主催した「経済のグローバル化と児童労働と企業のCSR」に、元児童労働者のスマン・クマール・マハト君(13?・年齢不詳)とともに参加した。 

 サティヤルティさんは、1980年ごろからの25年間に6万7000人以上の子どもを児童労働や奴隷状態から救出し、社会復帰を支援したという。また、子どもの教育と権利に関する提言をインド国内だけでなく、国連や多国籍企業に対しても行っている。講演で「日本には平和な暮らしがあるが、グローバル化が進んだ今、世界で起こっているさまざまな問題と無縁ではいられない。経済的に大きな発展を遂げた日本は、企業の社会的責任(CSR)においてもリーダーシップを発揮してほしい」と繰り返し語った。

 また、サティヤルティさんは、「ワールドカップ フランス大会」が開かれた98年に、児童労働で作られたボールを使用しないと国際サッカー連盟(FIFA)が決定したことなど、児童労働キャンペーンの具体的な成果を説明。「他国で起こっている問題について情報として知るだけでも、黙ってはいられなくなるはず。安い製品を作るために、子どもの搾取が行われることがある。不買運動をするだけで、子どもが労働から解放される」と話し、「グローバルな問題はグローバルに解決するしかない」と訴えた。

 サティヤルティさんらは、13日まで日本に滞在。10日に関交協ハーモニックホールで(東京都新宿区)開かれるシンポジウム「働く子どもたちの未来に向けて」や、11日にUNハウス(東京都渋谷区)で開催される映画「ぼくたちも学びたい〜貧困と闘う子ども労働者たち(Stolen Childhoods)」上映会に出席するほか、都内の中学校などを訪問し、日本の子どもたちと交流する。【了】

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