地盤沈下のメカニズム。(東京都のホームページから)

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東京都内の多くの地域で、現在もわずかではあるが地盤沈下が観測されていることが24日、都環境局の地下水対策検討委員会がまとめた2004年までの5年間のデータ分析で明らかにされた。同委員会は、これ以上の地盤沈下を防ぐため、継続的な地下水の汲み上げ規制を呼びかけている。

 都内42個所に設置した92本の観測井で記録された地盤変動と地下水位のデータを検証した結果、2000年からの5年間で、地盤沈下は沈静化傾向にあることが分かった。しかし同時に、「台地部」と呼ばれる23区の西側9区と奥多摩町と檜原村を除く多摩地区で、依然として沈下が続いていることも明らかになった。特に多摩地区では、5年間の平均で最大約4ミリメートル沈下した。

 都心部に工場などが集中していた昭和40年代までは、大量の地下水が汲み上げられており、68年には江戸川区西葛西で、1年間に最大23.89センチメートルも地盤が沈下した記録が残っている。

 都が60年以降、法律や条例などで地下水揚水を規制した結果、汲み上げ量の削減に伴って地下水位が上昇、地盤沈下は沈静化した。しかし、現在も、上水道の水源として、多摩地区などで1日約50万トンの地下水が汲み上げられている。また、同地区では工業用水として工場での揚水量も多く、これがわずかではあるが地盤沈下につながっていると同委員会は分析している。

 地盤は、一度沈下すると元の地盤高には戻らず、年間の沈下量がわずかであっても、長期的に見れば、累積的に沈下が進行する特徴があるといわれる。このため、同委員会は「現行の揚水規制を緩和すれば、地盤沈下が再発するおそれがある」として、継続的な揚水規制と監視体制の重要性を提唱している。【了】

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