総務省が6月28日付けで公表した報道資料に、興味深いことが書かれていた。なんでも、「ICTを活用したコミュニケーション能力は、学校で学ぶことが望ましい」とし、ブログやSNSの仕組みを学校に導入することを検討しているそうなのだ。報告書を作成したのは同省が設置した「情報フロンティア研究会」(座長=國領二郎・慶応大学教授)。大学研究者やベンチャー企業社長、企業技術者など13人からなる組織だ。

 報告書によると、「学校の中でセキュアなネットワークを整備した上で、児童・生徒が自らのアカウントを持ち、実名でブログやSNSを用いて他の児童・生徒と交流することで、ネットワークへの親近感を養うとともに、ネット上での誹謗中傷やプライバシー侵害に対する実地的な安全の守り方も同時並行的に学ぶことが重要」なのだとか。

 つまりは、日本のICT力を強化するためには、小学生のうちから学校ベースで“慣れておく”ことが重要ということか。総務省も乗り気で、「すでに存在する自治体への情報化支援策などを活用することも可能。必要なら特別の予算を組むことも検討したい」と積極的に取り組む姿勢を見せている。

ちなみにICT(Information and Communication(s) Technology)とは日本でいうところのITのことで、国際的にはこちらの呼称の方がメジャー。またSNSは「ソーシャルネットワーキングサイト」を意味し、参加者が互いに友人を紹介しあって、新たな友人関係を広げることを目的に開設されたコミュニティ型のWebサイトをさす。「mixi」とか。

ところで、現実世界の日本は、依然として個人のモラルが高いにも関わらず、サイバースペースに関しては何ら体系立って、“躾”が行われていないのが現状だ。P2P技術を使った違法なファイル交換や、内部犯行による個人情報漏洩などの事件が発生していることにも表れているように、様々なセキュリティ技術が開発されたとしても、ネットワークの信頼性を高められるか否かは、最終的には利用者のモラルに委ねられるところが大きい。そして私たちの多くはネットワーク上での“作法”を教育されていない。これも問題である。

同研究会は、国内ブログ利用者数は延べ約335万人から約782万人に拡大、そして月に1度以上更新をするアクティブなブログ利用者は約95万人から約296万人に拡大すると予測している(2005年3月末→2007年3月末)。

 HTML等の知識がなくても簡便に作成・内容更新することが可能なブログは、確かにICT入門として効果的かもしれない。だが、ブログ制作を学校教育に取り入れる際は、ぜひとも“躾ける”ことを前提としたリテラシー教育を行って欲しいものだ。(文/verb)

■関連リンク
総務省/報道資料
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050628_7.html