梅原猛さんが亡くなられた。とても尊敬する先輩であった。梅原さんに初めてお会いしたのは、10年近く前のこと。きっかけは、梅原さんが書かれた、『神々の流竄(るざん)』だ。30年以上前に書かれた本で、なぜ伊勢神宮ができ、なぜ出雲神話が誕生したのか、これらを操る影の存在は誰か――。古代日本のミステリーを梅原さん独自の視点でひもといている、すばらしい本である。梅原さんは哲学者だった。だが、それだけではない。