需要はどこにあるかわからない(写真はイメージです)

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「不肖・宮嶋」こと写真家・宮嶋茂樹氏による写真集『国防男子』(集英社)の売れ行きが好調だという。

 陸・海・空の3自衛隊のなかでも旧軍の残り香強い海上自衛隊の隊員にのみ絞り込み、海自の全面協力で制作されたこの写真集は、姉妹作『国防女子』とともに自衛隊ファンはもちろん、自衛隊にあまり関心がなかった層の間でも手に取られているようだ。

 しかし、意外な層にもこの本が売れているという。大阪市内の書店員は次のように語る。

「『国防男子』は男性同性愛者が、『国防女子』はSM嗜好の方、とくにM男性の間で人気があるようです。実店舗ではわかりませんが、オンラインの売れ行きをみてみると、過去、同性愛関連の書籍を購入されたお客様が『国防男子』を、SM関連書籍でもS女性を取り上げた書籍をお求めになられた男性のお客様が『国防女子』を手に取られていることはデータからも見て取れます」

 意外なファン層がこの『国防男子』『国防女子』を買い求めているようだ。はたしてこの話は本当なのか。その真相に迫ってみた。

ゲイは『国防男子』、M男は『国防女子』を手に取る!?

 大阪・キタの堂山町――。ここは東京の新宿2丁目に匹敵する“西のゲイの町”としても知られる。ゲイのみならずレズビアン、SMなどノーマルではない性のメッカだ。ここにある男性同性愛者が集うバーの常連、井沢健介さん(仮名・35)は発刊と同時にこの『国防男子』を購入したという。

「帯に書かれている“鍛え上げられた上腕二頭筋を見よ!”という文字が飛び込んできたときこれは買いだと。モデルは現役自衛官の皆さんだけあって皆さん凛々しくて逞しい。好みの男性ばかりだし、閲覧用と保存用の2冊を店頭で即買いしました。写真集に掲載されている上半身裸で水を弾く肌、惚れ惚れします」

 井沢さんによると同性愛仲間の間でも、この『国防男子』はネット書店で買い求める向きが多く、「実際に男性自衛官を見てみたい」(井沢さん)との理由から自衛隊が実施する各種イベントへの参加も申し込むようになったという。

 一方、『国防女子』はどうか。同じく大阪キタ・堂山町のSMバーの常連、大貫剛さん(仮名・30歳)に話を聞いた。

「凛とした女性自衛官が登場する写真集なので興味はあります。まだ私は手にしていませんが。SM愛好家の間では話題に上ってますよ。好きな人は好きだと思います」

 こう話す大貫さんは、Youtubeでみた女性自衛官が号令をかける姿をみて、「本物の命令だけあって迫力があった」とM嗜好男性として自衛官女性に興味津々な様子を窺がわせた。

幹部自衛官「きっかけはどう関心を持って頂きよかった」

 こうした状況を、当の現役自衛官たちはどう思っているのだろうか。東京・市ヶ谷にある防衛省・海上幕僚監部内で取材を試みると、艦長経験もある40代後半の2等海佐は、筆者を睨みつけ、「バカヤロー」とひとこと言い捨てその場から去った。30代後半の3佐はしぶしぶといった趣きでこう応えた。

「どういったきっかけであれ海上自衛隊に関心を持って頂けてよかったと思います。今後も海自へのご理解とご支援、ご声援を賜りたい――」

 同性愛嗜好男性、M嗜好男性からも熱い視線を集める海上自衛隊では、年末にも多数のイベントが目白押しだ。詳しく海上自衛隊HPまで。本物の自衛官たちが待っている。

(取材・文/南澤康介)