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家族や恋愛、お金や仕事など、日常における悩みは多いもの。ここでは、心理学者の平松隆円さんがマイナビニュースのQ&Aコーナーに寄せられた悩みにお答えします。

今回のお悩みタイトルは、「生まれてこのかた胸の谷間なんてできたことがありません。この世に実在するのですか?」です。

■質問

生まれてこのかた胸の谷間なんてできたことがありません。この世に実在するのですか?冷徹な経験主義者なので、アプリオリに定義づけられた「胸の谷間は実在する」という命題を信じることができません。

よせて上げるブラとか、谷間ができるブラとか、今まで色々と試してきましたがさっぱりできません。谷間ってどうやったらできるんですか?というか、そもそも実在するんですか?

⇒この質問にアドバイスをする場合はこちらから。

■回答

谷間は存在します。だけど、谷間にこだわる必要はなし。

大半の男性たちは女性のバストが好きです。それも、大きなバストが。「ボクはそんなことないよ」という人も、当然いるでしょう。嗜好の個人差もありますし、性欲や性的な興味関心は、文化によって決まるものです。南米のようにバストよりも、おしりに興味がいくという文化もありますし、日本のようにうなじに惹かれるという文化もあります。しかしながら、いまの日本では、大きい胸=女性の魅力となっている傾向があります。そのため、女性自身も、小さな胸よりも大きな胸に憧れるわけです。

さて、「胸の谷間は存在するのか」というご相談ですが、残念(?)ながら存在するという答えになるでしょう。ただし、それは胸のサイズに影響されます。

下着メーカーであるワコールの人間科学研究所が、1976年から35年間にわたって、4歳から18歳までの女性のべ4,500人のバストの変化を計測し続けた結果によれば、初経前後から、女性の胸に変化がみられるというのです。おおむね、初経前に乳頭周辺が膨らみだし、初経頃に胸が横に広がりだし、初経後に立体的に膨らみだします。そんな胸の成長には、もちろん個人差があります。Aカップの人もいれば、Hカップという人もいるわけです。この違いには、遺伝的な問題、骨格的な問題が絡んでいます。

それと、なにか特定の食品を食べれば大きくなるわけではありません。よく、胸が大きくなったという人の経験談から、「アレを食べれば大きくなるんだ」と思っている人がいますが、消化された栄養素が100パーセント胸に届くわけではないですよね。これは、美容のためにとコラーゲンを摂取したとしても、100パーセントすべてがお肌に届かないのと同じです。

他にも、胸をもんだら大きくなると考えている人がいます。これは、絶対やめましょう。胸は、乳腺、脂肪、クーパー靭帯という部分などからできています。胸には筋肉はないので、運動などで鍛えることができません。つまり、いくらプッシュアップ(腕立て伏せ)をしても胸は大きくならないのです。そして、胸をもむとクーパー靭帯が伸びたり切れたりします。この靱帯は胸を支えているので、伸びたり切れたりすると胸が垂れてしまうのです。

胸のサイズに個人差があるのは、仕方がないことです。谷間の有無が、女性としての魅力があるかどうかの絶対的な基準ではありません。ただ、もしかしたらブラジャーのサイズが合ってないことで谷間ができていないという可能性もあります。一度、お店でサイズを測り、正しいブラジャーの付け方を実践してみてはいかがでしょうか?

(イラスト: のでこ)

○著者プロフィール

平松隆円…化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを経て、現在はタイ国立チュラロンコーン大学講師。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』(水曜社)は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響をよんだ。ほかに『黒髪と美女の日本史』(水曜社)など。

(平松隆円)