韓国のコミュニティーサイト「eTorrent」の掲示板に「過剰な愛国心、日本を称賛した90代の老人、杖(つえ)で殴り殺害される」とのスレッドが立てられたところ、韓国人ネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。

 スレ主は、30代の男が、日本の植民地支配を支持した90代の老人を殴って死亡させたとの記事を取り上げた。

 容疑者は今年5月、酒に酔っていた際に90代の男性の「日本が韓国を植民地支配したのは良かった」という発言を耳にし、激高した。90代の男性が持っていたつえで頭を数回殴りつけ、頭蓋骨を損傷させ、脳出血など全治8週間の重傷を負わせた疑い。

 容疑者は暴力行為など処罰に関する法律違反で起訴され、裁判中だったが、被害者がその後死亡したため、検察は傷害致死に容疑を切り替えた。ソウル中央地方裁判所は12日、懲役5年の判決を言い渡した。

 この記事に接した韓国人のネットユーザーの反応は「殺人は殺人」、「故人の冥福を祈ります」、「日本を賛美したとはいえ、殺す必要まではなかった」などと、犯人について過剰な反応だったとする意見が見られた。

 一方で、「日帝時代、言葉にもできない苦難と屈辱にあった多くの被害者や、独立のために命をかけて闘争した独立運動家たちを思えば、あのような馬鹿話を堂々とできないだろう。いくら高齢であったとしても、あまりにも浅はか。一抹の同情もしない」といった意見も上がった。

 また、「日帝時代に生まれた高齢者には、いろいろな考えの人がいます。日本を否定すると、自分を否定したような錯覚に陥って激怒する人もいるようだ」、「殺人で懲役5年とは、愛国心を考慮したのだろうか?」との指摘もあった。

 酩酊していたとはいえ、高齢者に対する暴力は決して許されることではなく、今回の事件は、韓国人が自身の愛国心について、改めて考える契機になったのかもしれない。(編集担当:李信恵・山口幸治)