盗撮?デジタル万引き?スマホのカメラ撮影と犯罪の関係

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最近、遊園地写真サービスのサンプル画面をスマートフォン(スマホ)で撮影する人が多いことで、「写真を買わないでスマホで撮影するのは(デジタル)万引きと一緒」や、そもそも無断で撮影しているのは「盗撮では?」など、ネット上で話題になりました。

「スマホで撮らないで買って。万引きと一緒」遊園地写真サービスが悲鳴→ネットで反論相次ぐ


このような話題が出てくるほどに、スマホで写真を撮影することは多くの人にとって、生活の一部になっています。食事を撮ったり、移動中に見かけたキレイな景色を撮ったり、パーティやイベントで記念写真を撮ったりと、スマホで写真を撮らない人のほうが希とも言えるでしょう。

いつでもどこでも写真を撮れるのがスマホの良いところですが、気付かずに関係の無い人やモノが写ってしまうことも少なくありません。また許可されてないことを知らずに撮影してしまうこともあるかもしれません。

そうしたケースの場合、「盗撮」や「デジタル万引き」とかに該当してしまうのでしょうか?


■盗撮とは
盗撮(とうさつ)は、“被写体や対象物の管理者に了解をとらずに撮影を行うこと”とされています。このほか、撮影を禁じられている場所(映画館など)やモノ(美術品など)も該当するようです。

では、そうしたケースで撮影してしまったら犯罪となってしまうのでしょうか?

答えは、ノー。現時点において、“日本は盗撮行為そのものを規制する法律はない”のです。

新聞やメディア報道では「○○容疑者が盗撮で逮捕された」といったニュースを見かけますが、実は、盗撮という行為でなく、その行為に関連したほかの条例に違反したことで罪となっているのです。

例えば、東京都では迷惑防止条例で、「公共の場所や乗り物で下着や身体を撮影した場合、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」という項目があり、盗撮行為がこの条例に違反して逮捕されるというわけです。こうしたわいせつ目的以外でもプライバシー侵害などに該当する可能性もありますので注意は必要です。

つまり、盗撮行為は、各都道府県が定めた条例に抵触する場合や軽犯罪法に抵触して犯罪となる可能性があるのです。


■デジタル万引きとは
デジタル万引き(デジタルまんびき)は、日本雑誌協会(JMPA)と電気通信事業者協会(TCA)による造語で、主に書籍や雑誌を購入せず、店頭で撮影する行為とされています。

つまり、立ち読みで、スマホなどで撮影する場合です。これも、盗撮と同様で、“行為自体は違法とはならない”ようです。

万引きのように実際の商品を盗むのではなく、“実態のない情報を盗む(情報窃盗)は罪とは規定されていない”ようです。著作権的にも、“私的使用のための複製”という判断から違法ではないとされています。

ただ、場所(店や劇場など)に撮影禁止などの表示がある場合、店から退去や賠償請求される可能性はあるようです。また、“撮影した画像をネットなどで公開すると、著作権法に違反する”と判断されて逮捕に及ぶ場合もあります。

特にインターネットやTwitter、FacebookなどのSNSに投稿する際は、画像を確認してからアップロードするようにしたほうが良いでしょう。

スマホのカメラは、いつでもどこでも撮影できて、インターネットのSNSなどに簡単アップロードできる便利で楽しいものですが、知らないところで犯罪となってしまう危険もあることを理解して利用するようにしましょう。

※初稿にて、主審との誤表記があり、修正させていただきました。