爆発するスイカ、ドブ油、ニセモノ遊園地など、日本において「中国国内で起きたトンデモ事件」の記事は、ひとつのジャンルとして確立している。一方で、同じように中国でも「日本のトンデモ情報」が日々報道されていることが分かった。

主な記事の発信元となっているのが、国際情報専門紙『環球時報(かんきゅうじほう)』。中国共産党中央委員会の機関紙である『人民日報』の系列に属し、日本のように定期購読が一般的でない中国国内で200万部を売り上げる同国最大の大衆紙となっている。

本家の『人民日報』よりもセンセーショナルな記事やタイトルを好む傾向があるためか、同紙が報道する「日本のトンデモ情報」はエロ系ネタが多い。問題は、その記事のほとんどが、日本への誤解を招くデタラメ情報に基づいていることだ。以下に、そのいくつかを紹介しよう。

●SOD社のAVを「日本の性なるお祭り」として報道

4月7日、『環球時報』のウェブ版が「日本の神秘的な性のお祭り」というタイトルの特集を配信。だが、記事でネタ元となっているのは、ソフトオンデマンド社の『SOD的夏祭り!! 幻の奇祭、珍宝祭りを徹底リポート!!』というAVだった。掲載写真の端にもSODのロゴが消されずに残っているのが確認できる。どうやら『環球時報』編集部はこの画像を日本のエロサイトから、そのままコピペしたらしい。

●田中麗奈を「中国人でポルノに出演」と紹介

昨年7月31日、同じくウェブ版で「知られざる中国系AV女優たち」という記事を配信。中国系AV女優たちに混じり、「日本留学3ヵ月目にエロ番組に出演した中国人」と説明された稲森麗奈なる人物を紹介した。しかし、その顔写真は、なぜか演技派女優の田中麗奈の画像だった。ちなみに、AV嬢の「稲森麗奈」は日本に実在する。ただし、チャイナドレス姿でのコスプレ作品に出演しているものの、彼女が中国系の生まれである事実はないもようだ。

●女体盛りを「日本の伝統的な食文化」と説明

トンデモ報道は『環球時報』だけに留まらない。今年2月2日、中国国務院(日本でいう内閣府)直属の国営通信社・新華社のウェブ版記事が「見よ! これが日本で最も高価な人体寿司の宴会だ」と銘打った記事を配信した。掲載された画像には、おなかに葉っぱを敷いて横たわる全裸の美女にすしが盛られた様子が。記事にはこう書かれている。

「女体盛りの芸妓は処女であり、厳格な作法に基づいて体を清める(略)。これは古代大和民族の極端な男性優位主義の産物で、日本の伝統的食文化の特色なのだ」

事実を知っていて、わざとデタラメを報道しているのか、それとも本当に誤解しているのか。中国人の胸の内はわからない。

(取材/高山祐介)

■週刊プレイボーイ25号「中国最大の新聞『環球時報』の“日本ガイド”がエロおかしすぎる!!」より