就活の新たなトレンドとして注目されている「ソー活」。フェイスブックやツイッターなどのSNS(ソーシャルネットワーク)を使った就職活動のことで、すでに多くの学生が積極的に利用している。

「フェイスブックは『就活に役立つ』とPRしていて、特にOBなどにコネのない人には役に立っています。『ソーシャルランチ』というアプリは、エリアや企業名を入力すると、お昼ご飯の相手をリストアップしてくれる。知らない人でも相手がOKすれば一緒に昼食を取ることができます。それを使ってOB、OG訪問をしている友達もいます。僕はOB訪問をさせてもらった方に友達申請をしました。そうすれば、タイムラインに出てくるし、何かつながっている感じがして……」(K大・男)

「ツイッターで、全然知らない就活生の人からフォローされて、『“同期就活生飲み”をするんだけど来ない?』とか、『“広告業界志望者飲み”しましょう』と誘われます。情報収集になるかもしれないので、今度、参加してみようと思います」(A大・男)

「フェイスブックには留学中の写真をどんどん出すとか、企業にアピールできる内容を書いています。特に就活に対して意識の高い人は、早い時期からツイッターのプロフィール欄に、バリバリやってきた活動や、所属しているコミュニティのことを書き、『就活の情報を共有しましょう』なんて呼びかけたりしています。そういう子は人事の方や有名な経営者にまでどんどんフォローして、情報力をアピールするんです」(W大・女)

 SNSでは気軽に連絡が取れることから、情報収集や人脈づくり、企業へのアピールなど広く利用されている。しかしその一方で、「ソー活」には“落とし穴”があるのも事実。学生が陥りがちな罠について、IT系企業の人事担当者が語る。

「例えば、フェイスブックに就活日誌を書いている学生がいます。それを見ると、うちの面接の前に銀行や商社、マスコミを回っている。そういう人に、なぜうちを受けたのか熱心にアピールされても、説得力があると思いますか? またたとえ他社のことでも、落ちてグチめいたことを書き込む人は、うちについても何をするかわからない。人事がすべてチェックすることはないと思いますが、目に入ったらそう思うでしょう。ツイッターなら匿名だから安心だと思っている人も多いようですが、面接で人数が絞られてきたら見当をつけるのは簡単です。他社を断っていただくことを条件に内定を出した後、『迷ってる』と書き込んでいる学生もいました。特に複数のSNSを使っている学生は特定されやすいと思ったほうがいい」

 また、SNSでカンニングや飲酒運転、万引きなどを告白、炎上した挙句、実名や顔写真が調べ上げられネット上にさらされる学生の不祥事は後を絶たない。そうなれば、せっかく勝ち取った内定が取り消しになるケースも。

 現在の就活において、確かに「ソー活」は有効だ。だがSNSは、世界=企業からも見られているという意識を忘れずに。

(取材/梶野佐智子、イラスト/村上テツヤ)

【関連記事】
就活でうんざりしているのは学生よりも企業だった?
世間は“コネ入社”であふれている。就活生は批判するより利用せよ
“脱”就活サイト、卒制採用、節就宣言。企業が取り組む新しい就活スタイル
“就活”というのは就職産業が中心となってつくり上げたフィクション
本当に役に立つの?就活生から疑問の声が上がる有料セミナーが増えている