29日の「報道ステーション」(テレビ朝日)では、同番組で野球解説を務める長嶋一茂氏が聞き手となり、今季をもって中日ドラゴンズを退団した落合博満元監督へのインタビューの様子が伝えられた。

インタビュー前半では、試合中に無表情を貫いたその裏側を明かした落合氏。感情を抑え込んでいた理由については、「うちの選手、俺の本当の性格知ってたら野球になんないと思う。選手はベンチを見てる。怒ってる姿を見せたら、あいつら体動かなくなるから」と語りつつ、「それでなくても、そういう野球を中日はずっとやってきたわけでしょ。過去の政権で。戦う人間はこっちじゃないよ。お前ら何しでかしたって別に怒りゃせんから。そのかわり、勝ち負けの責任は俺がとる。(個人の)成績良い悪いは、お前らが責任とれよ。そこはフォローしないぞ。だから、グラウンド行って戦ってきなさいって」と、中日歴代監督のスタイルをチクリ。

さらに、12球団随一の練習量を課した落合氏は、「ケガする奴は、ケガさせても構わないっつって。ケガをすることで覚えることもある。オーバーワークになるんだったら、なっても構わない。それで1ヵ月、2ヵ月、故障して出遅れるなら、それも構わない。指導者も止めちゃいけない。なんでコーチはストップかけるの? そこから上手くなる可能性があるものを何で止めるの? 自分らが早くホテル帰りたいからって、練習きってどうするの? やるからには最後の一人までコーチはグラウンドにいろよ。必ず見といてやれよ。誰も見てないところで一人でやれるだけ、精神力の強い選手ってそうはいないから」と説明しながら、「見られている喜びというのは、おたくのお父さんが一番よく知ってるでしょ?」と、インタビュアー・長嶋氏の父・“ミスタージャイアンツ”長嶋茂雄氏を例に挙げた。

すると、落合氏は一茂氏に対して、「お前がもうちょっと(練習を)やっておけばなぁ。絶対親父を超えたと思うよ。本当、練習しないもん。お前、嫌いだったもんな。でも、プロ野球選手になったから、褒めてやるよ。普通嫌がるよな。俺、その気持ち、よく分かる。自分の息子を持って。はじめて分かる」とも。

また、12球団最低の打率、一試合平均2.9得点という打てないチームであってもリーグ優勝を果たした実績については、「410何点?144試合でだよ。1試合3点取ってないんだからね。そら打って点数取ってくれることに越したことはないよ。でも、取ったはいいけど、ざるみたいに取られて、全部吐き出すようだったら、それも困るだろうし。そこのバランスだよね。12球団最低の打率で、一番少ない得点で、優勝するってことを現実に作りあげちゃったわけだから。これから、他の監督、“うちは貧打だ”“点数取れないから勝てない”とか誰も言えなくなったよ、これで。やりやすくなったと思う。いや、やりやすいでしょう。逃げ道なくなったもん。他の球団、やりようによっては、ナンボでも優勝するチャンスはあるでしょ」とキッパリ。

“飛ばないボール”と揶揄される統一球の影響を訊かれても、「関係ない、まるっきり関係ない。統一球、飛ばないというその言葉にやられた。(対策云々について)それは逃げ。みんな、そこへ逃げたんだ。世の中と一緒。何かあると原因はそれなんだよっていう風に。俺らが打てなかったのは、ボールのせいなんだよ、審判のせいなんだよって、逃げちゃったの。振ってるのボールだもん。それは率も下がる、ホームランも落ちる。自分の技術がないから、ボール球を振るんだろ。現に振らない人間だっているわけだから。そこに逃げ込むなよって」と言い切り、今後、他球団で監督に就く可能性には、「話しは聞きます。続けざま、2球団、3球団とあるかも分かんないし。このまま一生ないかもしれない。どうやっても、こっちからやらせてくれっていう性格じゃないから。皆そう思ってるでしょ。中には俺みたいな人間もいるって」と話した。

落合監督が告白、試合中に無表情貫くも、その裏では・・・?