実際、今シーズンの山形のゲームでは、J1昇格年のように、相手が上位であっても圧倒的に力の差を感じるゲームはほとんどなくなっている。「惜しいところまで行くが勝ちきれない」、「頑張っているが、あと一歩」というゲームで勝ち点を取りこぼしてきた印象が強い。

■クラブや地域を含めた総合力が試される

その競り負けているゲームを勝ちきるために、小林監督の頭の中に大幅な軌道修正のプランはない。「明確に問題を見つけてそれを伝えて、グラウンドで修正させていくということの繰り返しで、今の状況をジャンプしたい」。これまでも続けてきた、オフ・ザ・ボールでのポジションの修正など細かい部分のプレー精度をさらに上げることで、破れなかった「あと一歩」の壁をなんとか破ろうとの考えだ。

08年の千葉では前半戦の勝ち点9から奇跡的な残留も経験している下村東美は言う。「実際、やっていて戦えてないというのがまったくないので、全然下を向く必要はないし、ちょっとしたきっかけで変わる要素が今はある。具体的に言えば、前半を失点0で抑えればうちの試合になると思う」。ただ、ほかの守備の選手からは「前がチャンスで点を取ってくれれば」という声が聞こえてきてもいる。今後、着実な勝ち点の上積みがなければ、なんとか保たれているチームのバランスが崩れかねない、危うい橋の上にいることに変わりはない。

21日、クラブは広島から山崎雅人の期限付き移籍を発表した。守備と攻撃のジレンマ解消を狙った、チームスタイルに即した好補強の印象は強いが、山崎一人に今後の命運すべてを委ねるわけにもいかない。残された17試合では、クラブや地域を含めた山形の総力が試される。

■著者プロフィール
佐藤円
1968年生まれ、山形県鶴岡市出身。山形のタウン誌編集部時代の1995年にモンテディオ山形の前進であるNEC山形の取材を開始。現在はモンテディオ山形の取材を続けながら、「J's GOAL」「EL GOLAZO」等に執筆している。Jリーグ登録フリーランスライター。


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