ソウルの39階建てビルが突然グラグラ…「原因はよく分からないけど大丈夫です!」

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韓国のソウルで5日、39階建ての「テクノマート」と呼ばれる高層ビルが、突然10分間にわたり揺れる出来事が発生した。現在、詳しい調査が進められているが、未だ原因は分からず揺れはナゾのまま。避難命令は解除されたものの、入居者や周辺住民たちの不安は解消されていない。

テクノマートが揺れたのは、5日午前10時10分ごろ。突然上下左右に大きく揺れ、ショッピング客や入居者など2000人以上が緊急退避する騒ぎとなった。特にオフィスが入る高層階の揺れはひどかったようで、当時建物の中にいた人は気分が悪くなるほどだったという。

では、そのころソウルで地震があったのかというと、気象庁の発表では地震の観測はなし。気象庁関係者は、「地震があったのではないかという問い合せがあるが、該当地域で地震は観測されていない。ビルの揺れは地震とは関連ない」と述べ、建物自体に問題があることを示唆した。

地震もないのに建物が大きく揺れるというのは、どう見ても異常事態である。テクノマートは入居者らに3日間の退避命令を出し、安全点検を実施。建物の変形、沈下などが調べられたが、結果は「構造物の安全に問題なし」だった。テクノマートは、結局原因が分からないまま、7日に営業を再開している。

だが、今回のテクノマートで揺れで頭をよぎるのが、これまで韓国で発生した数々の崩落事故だ。1995年に発生した三豊百貨店の崩落事故では、5階建てのデパートが突然建物の半分だけを残して崩壊し、死者約500人、負傷者約900人という大惨事を引き起した。1994年には、ソウルの聖水大橋が崩落し30人が死亡。1993年には同国中部の清州市でマンションが崩壊し27人が死亡し、1970年にはソウルのマンションが崩壊し33人が死亡している。このように、韓国では建物の構造的欠陥による崩壊事故が何度も起きている。

テクノマートの揺れについて、専門家などの間では「映画館の震動」説や、「フィットネスクラブの震動」説、大雨による「地盤沈下」説などが指摘されているが、どれも確証はない。原因がはっきりしないまま営業再開したテクノマート側だが、客足はすっかり遠のいてしまったという。認識の甘さが重大事故につながらないことを祈るばかりだ。

【テクノマート】ソウル・九宜洞(クイドン)に建つ1998年に建設された地下5階、地上39階建ての複合商業施設。地下5階―地下2階は駐車場、地下2階はロッテマート、地下1階はロッテリアなどの飲食店、1階―8階はショッピングモール、11階は食堂、10階はゼームセンターや映画館、11階―39階までオフィスが入る。1日の利用人口は約6万人。


参照:<聯合時論>テクノマート安全診断徹底的にしなければ - 聯合ニュース
参照:テクノマート20―39階だけ10分間振動ミステリー - 京郷新聞

(文:林由美)

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