ソウル警察庁は22日、太平洋戦争当時に強制徴用された被害者らを相手に「日本から補償金をもらってあげる」とだまし、全国3万人から15億ウォン相当(約1億1000万円)を横領したヤン氏(67歳)など39人を常習詐欺の疑いで書類送検したと明らかにした。韓国の複数メディアが相次いで報じた。

 警察によると、ヤン氏らは2010年3月から11年1月にかけてソウルで「対日訴訟団体」を作り、日本政府を相手に被害補償に関する訴訟あるいは関連の協議を行うという名目で、弁護人の選任や団体登録費として団体の会員3万人から1人当たり9万ウォン(約7000円)を受け取った疑惑を受けている。

 ヤン氏らは太平洋戦争当時の徴用被害者だけではなく、その時期の人や大韓民国の国籍を持つ人であれば誰でも補償金をもらえると主張し、団体への加入者を募集していた。しかし形式的に諮問弁護士を選任したこと以外は、会員を募集する際に約束した訴訟の提起などは一切進行しなかったことが判明した。

 また会員たちの疑いを解消するために、10年10月に行われた日韓サッカー親善試合当時に「日本の謝罪」を要求する垂れ幕を掲げたり、日本政府を相手に「補償金を支給しろ」と求める声明を発表するなど、補償金を請求する活動を偽装してきたことが発覚した。

 さらには韓国で「対日抗争期強制動員被害者調査および国外強制動員犠牲者など支援に関する特別法」が施行される前である08年5月、ヤン氏は遺族会の代表としてテレビにも出演し「(徴用被害者)遺族に対する補償金の申請代行を口実とした詐欺に気を付けなさい」と伝えたこともあるという。

 警察の関係者は、太平洋戦争当時の強制徴用被害者に対する補償は「対日抗争期強制徴用被害者調査および国外強制徴用犠牲者などの支援に関する特別法」によってなされるということを強調し、追加被害に対する注意が必要だと指摘した。(編集担当:永井武)



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