“怪物”と呼ばれたストライカーが現役引退を発表した。バルセロナのユニフォームを身にまとい、伝説のゴールを刻んだのはわずか20歳の時。以来、「世界最高」の称号はこの“怪物”とともにあった。

 幾多のケガを乗り越え、別次元の才能で世界の頂点に君臨してきた男、ロナウドの言葉を振り返ってみよう。このインタビューは2005年10月、彼が29歳の時に行われたもの(※『ワールドサッカーキング』2005年11月17日号より抜粋)。その言葉には恐らく、「世界最高の選手」になるためのヒントが、ふんだんに散りばめられている。


君はいくつの時からFWとしてプレーしているんだい?
ロナウド──子供の頃からさ。ボールを蹴り始めた頃からずっとFWをやってきたような気がする。小さい時から、僕の役割はゴールを奪うことだった。僕はいつでも、できるだけ相手ゴールの側でプレーしたいと思っていたんだ。初めてチームに入った時、DFをやらされたんだけど、すぐにFWにしてもらったことを覚えているよ。クルゼイロに入った時もすぐにFWをやらせてもらった。今までずっとFWだけをやってきたけど、そのおかげで今の僕があるわけさ。

子供の時に憧れていたストライカーは?
ロナウド──ブラジルは数多くの名ストライカーを生み出しているし、好きだった選手はたくさんいるよ。「憧れのプレーヤーは?」という質問に、「ペレ」と答える選手は多いだろうけど、僕はペレのプレーを生で見たことがないから、あまりイメージがわかないんだ。僕の世代にとって印象深い選手と言ったら、何と言ってもジーコさ。彼がボールを蹴る瞬間のインパクトはすごく印象的だった。ジーコのプレーにほとんどの子供たちが魅了されたものさ。もちろん、僕もその一人だった。その後、カレカやマルコ・ファン・バステンのプレーにも憧れたけど、最も憧れたストライカーを一人挙げろと言われれば、文句なくジーコさ。

キャリアで最も気に入っているゴールは?
ロナウド──バルサでプレーしていた1996年にコンポステーラ戦で決めたゴールが最も美しいとみんな言ってくれるし、僕もそう思っている。素晴らしいゴールだったよ。ハーフウェーライン近くでボールをもらってからドリブルで突進したんだけど、ボールを受けた時は、まさかゴールまでたどり着けるとは思わなかった。本当に信じられないゴールだった。パワーとテクニックが融合した最高のゴールだったと思っているよ。ただ、ゴールの重要性という意味では、2002年ワールドカップの決勝で決めた2ゴールが最高だったね。あの大会は僕にとって復帰戦でもあったんだ。ケガで2年間思ったようなプレーができず、長いスランプを経てセレソンの一員として主役に復帰できた瞬間でもあった。その点では、僕のサッカー人生における最も重要なゴールだと思う。

どんなパターンのゴールが好きなの?
ロナウド──どんなパターンでもかまわない。とにかく、僕の体に触れたボールが相手のゴールラインを越えればそれでいいんだ。どんな形でもかまわない。ゴールが決まり、そのゴールでチームが勝利を手にすれば、それが最高なんだ。

世界最高のストライカーと呼ばれるために必要不可欠な要素は?
ロナウド──ゴール嗅覚が必要だろうね。チャンスを嗅ぎつけ、その瞬間にボールをもらう能力さ。僕の場合、スペースさえあれば良い仕事ができると思っている。そう、スペースさえあれば、パワフルでスピーディーなプレーができるんだ。他にも相手DFを抜き去るテクニックが必要だし、時には強烈なシュートを放つ必要もあるだろう。パワーとテクニックがかみ合った時に初めて最高のプレーが生まれるんだからね。

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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。ストリートファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、現在、『SOCCER KING(twitterアカウントはSoccerKingJP)』と、サッカーくじtotoの予想サイト『totoONE』の編集長を兼任。『SOCCER GAME KING』ではグラビアページを担当。