10年余りの紆余曲折を経て始まる上海ディズニーランドプロジェクトは「万博の後を継ぐ上海の原動力」と期待されている。ある情報によると、早ければ2014年には開園されるという。現在開催されている上海市の人民代表大会と政治協商会議においても、「上海ディズニーランド」がホットな話題となっている。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 上海市第11期政治協商会議第4回会議において、屠海鳴政治協商会議委員は、「関連部門は香港ディズニーランドの経営赤字の教訓をくみ取り、上海ディズニーランドの経営リスクを軽減させなければならない」と提案、屠海鳴氏の提案は各方面からの関心を集めた。

 ディズニーランドは世界に5か所あり、上海が6か所目となる。米国外に開設した3カ所のディズニーランドのうち、東京ディズニーランドを除いて、パリ、香港のディズニーランドは苦しい立場に置かれている。

 香港ディズニーランドは毎日ほぼ満員であるにもかかわらず、毎年赤字を出している。香港ディズニーランド2009財政年度決算を見ると、純損失は13.15億香港ドル(約139億円)、運営面では利子控除・税引き前の赤字額が7000万香港ドル(約7000万円)で、香港ディズニーランド開園からの4年間でもっとも赤字が少ない年だった。

 「楽観的」な予想では、香港ディズニーランドは2014年に黒字に転換するという。屠海鳴氏は、当時香港が抱いていたディズニーランド建設を観光業界促進につなげようという考えは、政府の一方的な願望となったと指摘した。

 屠海鳴氏は次のように述べている。「上海ディズニーランドプロジェクトの中国、米国の出資比率はそれぞれ57%、43%。この比率は香港ディズニーランドと同じである。香港ディズニーランドの失敗を糧に、上海の関連部門は警戒感を強め、早めの対策をとり、上海ディズニーランドの経営リスク軽減に尽力しなければならない」

 屠海鳴氏は香港の利益配分システムには不公平な点があったと分析した。香港ディズニーランドの総工費は141億香港ドル、香港特別行政区政府はその内の約90%を出資したにもかかわらず、57%の株しか保有できなかった。契約では、香港特別行政区政府には入場チケットの収入が割り当てられるだけで、関連商品の販売収益はすべてディズニーのものとなる。

 このほか、香港はディズニーのそのほかの経営項目(例えば、ディズニーランドホテル、有料のディズニーチャンネル、ディズニー英語システムなど)を当時まとめて導入したが、ある部分の利益は香港政府とは無関係になっていた。屠海鳴氏は、香港政府が赤字を抱える一方で、ウォルトディズニーは着々と利益を得ていると述べた。(つづく 編集担当:米原裕子)



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