倉木麻衣
 昨年9月に発売した10周年ベストアルバム「ALL MY BEST」が、オリコン週間ランキング初登場1位を記録した倉木麻衣。11月17日には、“自分自身にもっと触れて欲しい”という想いを込めた前作「touch Me!」以来、1年10ヶ月ぶりとなる9作目のオリジナルアルバム「FUTURE KISS」を発売。彼女が今作に詰め込んだ“想い”について話を聞いた。

――オリジナルアルバムとしては前作の「touch Me!」から1年10ヶ月ほど経っていますが、シングル曲以外で、アルバムの制作はいつ頃から開始されたのですか?

倉木麻衣(以降、倉木):もう3年前からずっと温めてた曲もあったり、今年に入ってから作っていった曲もあるんですよね。去年ライブがずっと続いていたので、今年カウントダウンライブが終わった辺りから、ちょっとお休みを頂いたんです。その時に、燃え尽き症候群になってしまって、全くやる気が起きなくて。今まで「頑張れ!」ってポジティブな想いを発信してきた者とは思えないぐらい、逆にネガティブ思考になっちゃったんですよね。人とも会いたくなくなって、家で泣いてる日々を送っていたんです。「また前向きにパワーをもってライブが出来るのか?」って葛藤していた時期があって。

それから段々暖かくなって、春ぐらいからアルバムの制作に入って、気楽な気持ちでスタジオに立ち寄ったんです。歌を歌っていく内に、スッと心の重荷が取れて、本来の自分のリズムを取り戻せて。泣いて泣いて、泣き尽くした後の想いをアルバムにすることができたので、改めて「私は歌が好きなんだ、思いを発散できるのは歌やライブなんだ」と思えたんですよね。結構、真面目な方なので。

――話していても、真面目な方だなという印象を受けますよ。

倉木:そうなんですよ(笑)。タバコとかお酒もやらないし、みんなでパァー!っと騒げるタイプでもないし、合コンに行ったり…。

――実際に合コンに行って、倉木さんがいても困りますけどね(笑)。

倉木:(笑)。そういうタイプではないので、発散できる、自分のハメを外せる場所がライブなんですよね。「やっぱり、ライブしかないんだな」と改めて感じて。今まで自分は殻に閉じこもって“待ち”な状況にいたけど、歌を作り始めて段々気持ちが上がってきて、「カッコイイ、気持ちの上がる歌をどんどん作っていけたらな」と、“攻め”な状態になったんです。そんな想いで作っていったのが今回のアルバムなので、前半は“攻め”な曲が多いかもしれません。「今の自分が体感しているストレートな想い」をアルバムにしてみようかなと思って、「今の自分自身を見つめて、未来に向かってまたここから頑張っていこう」というコンセプトで作ったんですよね。

――曲順は、アルバム制作中からイメージがありましたか?

倉木:曲順は、曲を作っていく内に、ブロックごとに「この曲とこの曲を繋げたら、すごく流れがいいかな」と思いながら、最終的に全曲を仕上げてから考えて。スタッフの方からは「『FUTURE KISS』の次に『wana』? ものすごく斬新だね!」という声が(笑)。アップテンポがずっと続いて、気持ちをドンドン高めて上がっていくような流れにしているので、途中からバラードになって、心を落ち着かせて、自分をまた見つめ直すという。

――後半の「I promise」と「sound of rain」のシリアスなムードから、「Tomorrow is the last Time」と最後の「anywhere」に向かうまで、良い曲順だなと思いました。「Tomorrow is the last Time」も、タイトルからは悲しい楽曲をイメージしていたのですが、歌詞をよく見ると、最後は前を向いている内容だったので。

倉木:そうなんですよね。「Tomorrow is the last Time」は、ちょうど私がすごく落ち込んでいた時に出来上がった曲で。切ないけど、ポジティブな想いが入ってる。明日に向かってそれぞれの道を歩んで行くんだけど、ここからは一人で頑張らなきゃいけないという、まさに今の自分の想いを込めて。切ない…(笑)。と思いきや!「anywhere」で「自分のライフスタイルを満喫しよう!」「人生一度きりしかないんだから、楽しんで行こうよ!」という歌に変えて(笑)。「I promise」からは、気持ちをどんどん前向きに変えていくポイントですね。