広東省深セン市が、“渦中”の助産師も出席させて記者会見を開いた。勤務する深セン鳳凰医院で出産した女性と夫が「助産師により不必要に肛門周辺を縫われ、大きな苦痛を味わった。謝礼が少なかった報復と考えられる」と主張した件について、助産師は涙で「事実無根」と訴えた。中国新聞社などが報じた。

■市が記者会見を主催、病院側の主張を支持

 女性が出産したのは23日。夜になって鶏卵大に腫れ上がり猛烈に痛んだ。女性によると肛門の周囲が多くの糸で乱雑に縫われていた。女性と夫は、「入院時に謝礼を渡すようほのめかされたが、現金の手持ちがなく、わずかしか渡せなかった。看護師はとたんに不機嫌になった。肛門を縫われたのは、報復と考えられる」と主張した。

 病院側は◆女性には痔(じ)があった。好意で処置した◆助産師が行ったのは規則違反だが、当時の状況からやむをえなかった◆謝礼を受け取ったのは規則違反であり、厳しく処分する――との考えを示した。

 29日の記者会見には、深セン市衛生部門医療管理処の周復処長や同市が用意した医学の専門家も出席した。周処長は「女性には直径1センチメートルの痔があった。出産時に出血したため助産師が糸で結索した。針を使って縫ったわけではない。ただし、職務範囲を逸脱した行為だったのは事実で、今後は病院に管理を強化させる」と説明した。

■市担当者、女性の患部を確認していないことを認める

 記者会見では女性の肛門部分の写真も示された。病院側が「縫合」ではなく「結索」と説明したことに関連して、出席した医学の専門家は、「針で縫うのと、糸で結索する施術は異なる」と説明。ただし、「写真だけは、どちらを行ったのか、正確に判断できない」と述べた。

 女性の夫がこれまで、「私の妻はそもそも、痔ではなかった」と述べたことも、「報復のための不必要な施術」との疑惑を高める原因になっていた。深セン市当局は問題が発生してから、医学の専門家によるチームを作り、事実の解明に努めたと説明した。

 しかし、記者のひとりは「専門家チームは、女性の患部を診察していない。女性と夫から話を聞いただけだ」と指摘。周復処長は「女性は妊娠後、鳳凰医院の手配で人民医院肛門科で診察を受けていた。人民医院に診察結果を問い合わせて、痔だったことが分かった」と説明した。

 記者会見で、“渦中”の助産師は、「私の全人格をかけても、(女性の肛門部分を)針で縫っていません。謝礼を渡すよう、ほのめかしてもいません」と、涙ながらに釈明した。

 女性の夫は、「助産師は不自然に数分おきに何度も『準備はできていますか』と繰り返した。それで、謝礼を渡すようほのめかしていると分かった」と述べていた。助産師は「出産の準備はできているかと、尋ねただけ」と反論した。

 謝礼を直接返さないで、だまって病室内の引き出しに入れておいたことについては、「女性の夫の態度が非常に厳しくなっていたので、受け取ってもらえないと困ると考えた」と説明した。

■女性の夫、「証拠隠すため助産師は糸を強引に引き抜いた」

 女性の夫はこれまでに「(妻の肛門が腫れ上がった後)助産師は私が病室にいないときを狙ってやってきて、強引に肛門部分に残る糸を8割程度、引き抜いた。妻の苦痛もおかまいなしだった。証拠隠滅を考えたのだと思う」と述べた。

 助産師は記者会見で「痔がどのような状態になったか、確認しようとした。見ただけなのに女性は大声で叫んで、私を病室から追い出した」と述べた。(編集担当:如月隼人)



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