W杯6日目の16日、スペイン対スイス戦ですべてのチームが初戦を終えた。その一巡目最後の試合で、優勝候補とされるスペインがスイスを相手にまさかの敗北。過去18回の大会で、黒星スタートで優勝したチームの例はまったくない。

 スペイン優勝を予想していたジネディーヌ・ジダン氏は、カナル・プリュス局(フランス)のインタビューで、「スペインを倒す国があったら、そのチームは優勝だろう、なんて言っちゃったけど、スイスが優勝するとは思えないしねえ」とバツの悪そうな苦笑いで答えた。

 ジダン氏は序盤の大会全体を振り返って、「今大会はよく守るチームがいい結果を出している。強いチームに対して全員で守って、カウンターを狙いに行く。スイスの戦い方はその典型だったね。必ずしも私が好きなサッカーじゃないが、現代的なサッカーはそういうふうになっている。面白さは少ないけど、そういう流れだから仕方がない」と語った。

 ジダン氏の指摘は数字にもはっきりと表われている。レキップ紙によると、今大会の初戦16試合での全得点は25ゴール。1試合平均1.56ゴールで、過去3回の大会を大幅に下回っている。1998年は37ゴール(1試合平均2.31ゴール)、2002年は46ゴール(2.88)、前回は39ゴール(2.44)だった。

 ちなみに初戦で最多の4得点をあげて好発進したドイツは、前回も4―2(対コスタリカ)、前々回にいたっては8―0(対サウジアラビア)と、豪快なスタートを切るのが得意なようだ。

 初戦は各チームに慎重な試合運びが目立ったが、2戦目以降はゴールラッシュを期待したい。