「ねえねえ、ちょっと聞いてちょうだいよ」

 それはある日曜日。持ち帰り残業していた氷河秀子さんの携帯に、実家の母親から電話がかかってきた。やれやれ、また長話が始まるぞ――氷河さんはひそかにため息をついた。

「お父さんたらひどいのよ〜、人の家事の仕方にいちいち文句をつけるのよ。じゃあ自分が全部やればいいじゃないのよねえ。定年して暇なんだから。私もう、外で息抜きしないと頭が変になりそう。あっそうそう、銀座にいいレストランを見つけたんだけど、今度行かない?こないだもお友達と行ってきたんだけど、すごくおいしかったのよ〜。そうだ、そういえばそのお友達のお姉さんがね、この前、手術したんですって。大腸がんですってよ。怖いわねえ。あたしもこの頃、お腹の調子がおかしいのよ。変な病気じゃなきゃいいんだけど、お父さんに言っても全然聞いてくれないのよ。いやあねえ」

 話の脈絡はまったくないのだが、要するに「お父さんたらいやあねえ」と言いたいらしい。氷河さんは少々うんざりしてきた。「悪い。今、あたし仕事中なんだ。あとでかけなおす」「あらそうなの?それは悪かったわあ〜。大変ねえ、てぬぐい残業も」「…てぬぐい?ちげーよ!!ふろしき残業!」

 東海大学の小林千草教授が女子短大生を対象に実施した調査によれば、「違う」を「ちげーよ」と言う学生はなんと45.7%。ほかにも「やっぱそうか!」「うるせーよ」「それ、いいじゃん!」などの言葉を使う女性が増えているそうだ。

 さすがに「ちげーよ」は、氷河秀子さんのような30代女性ではまれだが、若い女性の中で「男言葉」が広がりつつあるのは、間違いないところだろう。小林教授によると、母親世代の使う「女言葉」は、若い世代ではすでにすたれており、かわりに「ニューハーフ」が使っているという。

 言葉づかいだけではない。ものの考え方、感じ方についても、「母親世代に比べ男性化している気がする」という女性は少なくないようだ。

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