不動産会社の破綻が止まらない。またもや今月13日、広島に本社を置くアーバンコーポレイション(以下、アーバンコーポ)【東証一部上場】が東京地裁に民事再生法の申請を行なった。負債総額は2558億円、今年最大の倒産となる。

 第39回のゼファー倒産記事(http://diamond.jp/series/nagasawa/10039/)でも紹介した通り、今年に入ってから上場企業の倒産が相次いでいる。中でも、ゼネコン・デベロッパーといった不動産関連企業がそのうちの7割を占めているという異常事態である。サブプライム問題の飛び火により海外からのリスクマネーが引き揚げられ、国内金融機関も一気に融資回収へまわった結果、「不動産バブル」の崩壊が起こった。その結果、体力のない不動産関連企業がバタバタと倒れ始めているのだ。

 今回のアーバンコーポもその1つであるといえる。まさに不動産バブル崩壊のあおりを受けて、今年に入ってから一気に資金繰りが悪化した。しかも4〜6月でかなりの信用下落があったようだ。数字もそれを表している。

 2008年3月末時点の同社の有利子負債額は、4078億円。それに対し今回明らかになった6月末時点の負債総額は2558億円。1520億円も減少している。しかもたった「3ヵ月」の間で、である。この間、いかに銀行からの回収が厳しかったかを物語っている。

 さらに4〜6月度の四半期決算でも見てみよう。四半期損益は399億円のマイナス、棚卸資産の減少は438億円にものぼる。両者を合わせると800億円以上の信用毀損が起きていたことになり、資金繰りのため、この3ヵ月間で資産を売りまくっていたかがわかる。

 もともとアーバンコーポは、営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)が著しく低い会社であった。ちなみに2008年3月期の営業CFは、マイナス1000億円。売上の4割にも相当する異常な額である。それほど大幅な営業CFマイナスを抱えながらも同社が成長できていたのは、主力事業が「不動産流動化」であったからである。不動産流動化とは、簡単にいえば、不動産を仕入れ、改装や建て替えを行なうことで不動産価値を上げ、他社に転売するというもの。典型的な回転型のビジネスモデルであり、それを支えていたのは金融機関からの短期借入金。「借りて、買って、売って、返して」という、ある意味自転車操業を繰り返してきたわけである。

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