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(マッキンニーさんと誕生したクローン犬)

愛犬といつまでも一緒にいられるとしたら、たとえ500万円払ってもあなたはそのクローン作りを望むであろうか。試験的なクローン犬誕生の話題はこれまでにも登場していたが、ついに韓国ソウルではクローン犬作りを商売にする企業が誕生し、5日には最初のクローン犬が紹介されたことを英国BBCが報じた。


カリフォルニア在住のバーナン・マッキンニーさんは、約530万円を支払い、愛犬であるピット・ブルテリアの「ブーガー」と全く同一の犬を5匹注文した。ソウル大学の科学者らは、ブーガーが死ぬ前に、その耳から取った皮膚細胞を基にたくさんの胚性幹細胞(ES細胞)を作り出し、代理出産用の犬の子宮に移した。その3ヵ月後に仔犬は誕生したという。

マッキンニーさんは、死んだ愛犬ブーガーについて、かつて他の犬に飛び掛かられ大怪我を負った際、追い払ってくれた命の恩人であり、親友のような存在だったと語り、生まれたクローン犬らについて、「完璧にパパ・ブーガーと同じで、今私は天国にいるような気分。本当に幸せです」と涙を浮かべて話す。また、9月にアメリカにこれらの仔犬が送られてきたら、訓練を受けさせて障害者や高齢者のための介助犬にしたいと考えているそうだ。

この韓国の会社は「RNL Bio」といい、CEOのラ・ジェン・チャン氏は、来年には300匹まで作ることが可能と予想している。そして、「次なる私の戦略は、中東の富豪のためのラクダをクローンで増やすこと」と意欲的だ。

ペットをわが子同様、いやそれ以上に大切にしていると言う方が多くなった今の時代、犬の命が長くとも10数年という悲しい現実には、多くの方が「もっとずっと一緒にいたい。犬の命は短すぎる」と語る。だが、短い命だと思うから存分の愛情を注ぎ、病気になるからこそ真剣に見守ると主張する愛犬家も多い。ペットを飼うにあたって誰もが抱く「弱い短命な生きものを慈しむ」という心、それがこうした産業の発展によって徐々に薄れていくことは間違いない。

命の大切さを、バトル・ゲームの世界と錯覚してしまう少年や若者が増えてしまっているこの世の中に、またひとつ、愛情を利用した非情な商売が誕生してしまったようだ。クローン化申し込みの際、愛犬とのふれあいだけが楽しみな高齢者や、パートナーとして支えてもらっていた障害をお持ちの方に絞るなど、何か厳しい条件が必要な気もするが、いかがであろうか。

(編集部 Joy横手)

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