29日、都内で開かれたシンポジウム「どうするニッポン人の食生活! 真の食育を考える」で基調講演を行う東京農業大学の小泉武夫教授。(撮影:久保田真理)

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日本人の食生活を見直そうというシンポジウム、「どうするニッポン人の食生活! 真の食育を考える」(こころとからだの元氣プラザ・東京顕微鏡院主催)が29日、東京都港区の新橋ヤクルトホールで開かれ、大学教授による講演や関係者らによるパネルディスカッションが行われた。

 前半の基調講演で、食文化論、発酵学の第一人者である東京農業大学の小泉武夫教授は、日本の食環境の現状と問題について話した。小泉教授は、日本の子どもたちが伝統的な食文化や食の大切さについて知らないことを指摘し、「次世代を担う子どもたちに食について教えなければ、日本の民族文化が失われていく」と警鐘を鳴らした。また、食糧自給率に触れ、40%を割り込んだ日本は先進国の中で最下位であるが、食品廃棄物の量が膨大で毎日300万人分以上の食事を捨てていることに相当するという。「世界一食糧のない国がこんなに食べ残しがあるのはかなり問題がある」と日本の危機的状況を伝えた。

 後半のパネルディスカッションでは、大学教授らが食と健康の問題などについて話し合った。生活習慣病に詳しい茨城キリスト教大学の板倉弘重教授は、健康情報を過信せず、それぞれの体質に合った食生活を送ることが重要で、体重や血液検査の結果などを目安に体質を把握するとよいとアドバイスした。「健康診断で結果を知るだけでなく、(その結果をもとに)きちんとした食生活のアドバイスを受けられるとよい」と意見を述べた。

 シンポジウムを主催するこころとからだの元氣プラザ・東京顕微鏡院の下村満子理事長は、「食育で何をどう食べるかを教えることも大事だが、命をいただいていると食べ物に対する感謝の気持ちや、家族で食卓を囲むことの大切さも伝えるべきだ」と食育のあるべき姿を強調し、シンポジウムを締めくくった。【了】

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