シエナMFフランチェスコ・コッツァ(32)が今夏移籍市場終了(31日)を目前に控えた29日、ついに切れた。ACミラン出身で将来を嘱望されたコッツァはレッジャーナ(A)、ビチェンツァ(B)、トリノ(A)、ルッケーゼ(B)、カリアリ(A)、レッチェ(A・B)と渡り歩き98−99季冬、セリエA昇格争いを繰り広げていた“伴侶”レッジーナと出会う。移籍後ほぼ全ての試合に出場したコッツァはA昇格の立役者となった。その後名実共にチームの顔となったコッツァは02−03季途中からレッジーナを率いたデ・カニオ監督に引っ張られる形で04−05季前半ジェノア(B)、04−05季後半シエナ(A)に移籍。05−06季にレッジーナ復帰を果たすと主将としてチームをA残留に導いたが、シーズン終了後またシエナに放出・・・。移籍市場序盤から訴え続けた「レッジーナに戻りたい。クラブ、サポーター、そしてあの街を愛している」の声は不正発覚で揺れるフォーティ会長にとってそれほど優先する問題ではなかったのだろう。

移籍市場終了まであと3日、レッジーナ復帰に向けコッツァがつい奥の手を選択。イタリアを代表するスポーツ紙“コリエレ・デッロ・スポルト”のレッジーナ番記者の取材に対し「今レッジーナに戻ることが出来ないのであれば、一生戻る事はない」と離縁宣言、コッツア復帰を望む番記者とのコラボレーションでレッジーナ・フォーティ会長に最終決断を迫るとともにサポーターの後押しを要請した。

90分間のプレイに耐える体力は無い。だが、コッツァが本拠地グラニッロに降り立った瞬間、地鳴りの様な轟音がスタジアムを覆う。南イタリア・カラブリア州出身でプロビンチャ(地方・弱小)クラブ愛を自ら訴えるコッツァの姿勢が、AとBを行き来するクラブを支えるサポーターの誇りでもある。レッジョの街には無数の“チッチョ(コッツァの愛称)私設応援団”があり、コッツァ開設のサッカー・スクールも存在する。不正発覚によりレッジーナは−15ポイントで06−07季を迎える。毎年恒例となっている“綱渡り残留”に加え−15ポイントのスタート、A残留に安堵の表情を浮かべたフォーティ会長だがサポーターの大半がスタジアムから背を向け始めている現実を直視しているのか。「会長は自分の気持ちを知っているのに・・・」と嘆くコッツァ、移籍市場はすでにロスタイムに入っている。クラブ存続に向け、最優先課題を間違えるゆとりは残されていない。