帰国会見でベルギー戦後の言葉を振り返った西野監督。「何が足りないんでしょうね」という言葉は自らに向けた言葉だったという。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップを戦った日本代表が7月5日、ベースキャンプ地のロシア・カザンを出発して帰国の途に就き、成田空港に帰着した。帰国後、千葉県内のホテルで日本サッカー協会の田嶋幸三会長、日本代表の西野朗監督、長谷部誠主将が記者会見に臨んだ。

 日本サッカー初のベスト8を懸けたベルギー戦。2点のリードを得ながらも、まさかの逆転負けを喫する結果となったが、西野監督は敗戦後にテレビインタビューで発した「何が足りないんでしょうね」という第一声に込めた想いを次のように語った。
 
「あの言葉を発するまで少し時間をいただいたかなと思いますが、ゲームが日本にとって好転していっているなかで、まさかあの試合は自分の中で……、考えられない状況でした。あの30分間で自分が判断できる、そういうスピード感というものが自分にまったくなかった。あの状況での判断とか、選手へのメッセージとかというものが……。まさか、ああいう状況になるというのが考えられませんでした」
 
 当時の状況を思い返しつつ、言葉を選びながらベルギー戦を振り返った西野監督。さらに、「何が足りないのか」という言葉は自分に向けたものであったことを明かしつつ、次のように続ける。
「選手がというよりは、何が足りないかというのは、自分にとって自問していたことで、こういう時にどういう感覚が働けばいいのかとか、これはステージ3戦目(ポーランド戦)の“10分間”もそうなんですが、チームがひとつになっていく方向性を出せる瞬間というのは、本当に瞬間で。それができなかった時、残り時間に対して、何が足りないんだろうなっていう想いで……。そういう気持ちだったと思います。まあ、自分に対して(の言葉)です」
 
 試合は65分に、ベルギーが大型プレーヤー二人を投入して流れを変えると、日本は69分、74分に連続得点を奪われ、リードはフイに。後半アディショナルタイムには、敵陣でのCKの流れから、GKクルトワからデ・ブルイネへのトスを起点に、ベルギーの高速カウンターによって撃沈された。
 
 世界トップクラスのクオリティに対して、為す術を持たなかったと素直に認めた西野監督だが、指揮官の自問にとどまらず、協会も含め日本サッカー全体がこれからの課題として考えるべき敗戦、そして“魔の30分間”と言えるだろう。