JALブランドを生まれ変わらせた「実践してなんぼ」の意識革命
「正直に言えば、破綻までJALはブランドに力を入れてこなかった」と振り返る大川順子副会長。過去との決別、そして必要とされる会社になるために、JALはブランドにきめ細かく取り組む企業へと変貌を遂げた。小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長とともに、AI時代の新しい働き方に至るまで、「JALらしさ」についてとことん語り尽くす。(まとめ/アスラン編集スタジオ 渡辺稔大、撮影/内藤洋司)
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働き方改革、女性活躍推進は
すでに投資の指標となっている
小室 JALでは「働き方を変えることが業績に結び付く」と経営層の皆さんも実感されていますか。
大川 社会の流れも明らかにシフトしていて、他社もやはり実績を上げていらっしゃる会社は働き方も進んでいるということを証明されている。これは必然的な取り組みなのだ、と経営層はみんな腑に落ちていると思います。
小室 いまや企業は、投資家からも厳しく働き方・女性活躍の観点で見られるようになりましたよね。「厚生労働省の“くるみんマーク”を取っている」「経済産業省の“ダイバーシティ100選”に選ばれている」といった指標以外にも、昨年印象的だったのが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がつくった「WIN」(MSCI日本株女性活躍指数)という指標です。
投資界の「くじら」と呼ばれるGPIFが、兆単位の資金をWINの指標で投資することになった。その指標の仕組みが、厚生労働省の女性活躍推進データベースにおいて業界の上位50パーセントにしか投資しないという仕組みになっている。ということは、女性活躍推進法に基づいて各社が公表している「平均残業時間」「女性管理職比率」「女性役員の数」などの数字によって、経営者としてお金を集められるか否かが決まるということですよね。
大川 私も役員会で「もうここまで来ているんです」と説明しました。