ニンテンドースイッチの「Joy-Con」が特許侵害? 米企業の訴えでITCが調査開始


米国際貿易委員会(ITC)は、カリフォルニア州に拠点を置くGameviceの訴えを受けて、任天堂の「特定のポータブルゲームコンソール」などについて特許侵害に関する調査を決定したことを明らかにしました。

対象となるのは、「ハンドヘルドコントローラおよびそのコンポーネントを備えた特定のポータブルゲームコンソールシステム」とのこと。

より具体的には「スマートフォンやタブレットなどの電子機器の両面に取り付けられたパーツを備えたコントローラシステム」とされ、ニンテンドースイッチおよびJoy-Conを指すと思われます。

この件につき、任天堂は今のところ声明を発表していません。

GameViceはモバイル機器向けアクセサリー会社で、「電子機器の両面に取り付けられたパーツを備えたコントローラ」関連の製品をこれまで2つ発売しています。一つは着脱可能なコントローラ付きのWikiPad、もう一つは他社製のスマホやタブレット向けのコントローラー製品です。

同社は、これら2つを含む「Combination computing device and game controller with flexible bridge section」の特許を2015年に取得済み。

Gamevice社は2017年8月にも、ニンテンドースイッチのJoy-Conが特許を侵害しているとして、、損害賠償と販売差し止めを求めて米連邦地方裁判所に提訴していました。弁護士ドットコムの取材によると、原告は自発的に訴えを取り下げたとされています。

今回のITC調査は、Gameviceが2018年3月30日に提出した訴状に基づいているとのこと。根拠となる関税法337条は輸入品による知的財産権侵害を取り締まる法律で、地裁における特許訴訟の代わりに使われる手段の一つとなっています。

ITC337条調査の原告にとってのメリットは、短期間で決定が下されやすいこと。その反面、処分が下されるとしても輸入の排除命令が行われるに過ぎず、損害賠償や輸入以外の行為の差し止めはカバーされません。

Gameviceとしては、期間も長くかかり勝訴の見込みも薄い地裁よりも、米国で特許に関連する国内産業を有している原告が有利に扱われやすいITC337条調査に訴えることで、任天堂との何らかの交渉を探っているのかもしれません。

ITCは、調査前の現時点では、訴状が正当かどうか決定していないとのこと。この後、任天堂が関税法に違反しているかどうかを判断する聴聞会を実施し、「可能な限り早い時期に」最終決定を下すとしています。

ITC337条調査は米国に特許関連の産業を持つ企業を守るための措置ですが、GameviceのWikipadが「産業」と呼べる規模に達していたかは不明です。現時点では審判がどちらに転ぶか分かりませんが、冷静に推移を見守りたいところです。