21日放送、TBS「バース・デイ」では、「過酷な環境で戦う元日本代表キャプテンの挑戦」と題し、2002年のW杯でキャプテンとして活躍した元日本代表・森岡隆三氏の現在を伝えた。引退から9年、現在42歳になった同氏は、昨年よりJ3・ガイナーレ鳥取の監督を務めている。

だが、その環境は過酷そのもの。開幕まで1ヶ月となった2月、森岡氏は氷点下3度の中で監督自ら雪かきを行い、グラウンドに練習できるスペースを作る。

また、人口が日本一少ない鳥取県をホームとするガイナーレの昨季ホームゲーム観客動員数は1試合平均で約1500人程度。集客にも苦戦をしており、ここでも森岡氏はビラを配ったり、積極的にファンと触れ合って来場を呼びかける。

それだけではない。予算の都合上、移動に飛行機や新幹線は使えないため、遠征はバスが基本となるが、監督やコーチはそのバスにも乗り切れず、自らの車で長距離を運転して移動するという。

それでも森岡氏は、京都サンガFCのU-18監督時代に実績を残したことでJ1クラブからコーチのオファーがあったにも関わらず、過酷で年俸も少ないガイナーレを選んだ。

「今は人生で働き出してから一番(年俸が)低い」という森岡氏だが、「お金のためにサッカーをやってたかっていったら、申し訳ないけどそうじゃない。人が少ない、クラブとしてもJ1のクラブと比べたら規模が小さい。そんなのは大事なことじゃなくて、チャレンジのしがいのある環境でやらしてもらっているっていうことの楽しさの方が勝ってる」とキッパリ。

だが、昨シーズンは4勝19敗4引き分けでリーグ最下位に。「いいゲームだったら、そこを思い返してなかなか寝ないし、悪かったら悪かったでとことん思い返して眠れなくなる。そういうことをいいながら色んな映像が頭をよぎって悔しくなる」という森岡氏は、オフの日もインターネットカフェにこもって試合を分析。この日は朝から約7時間、試合の映像を編集しながらコメントを入れていった。

そんな折、J2昇格を意気込むクラブは大改革を実行。14人の選手がチームを去り、J1、J2経験者6人を含む13人が新たに加入した。

「安心感というか、どっしりとした精神的支柱が欲しかった」という森岡氏は、ガンバ大阪などで活躍したフェルナンジーニョや、元アルビレックス新潟のGK・北野貴之らを迎え入れ、今年のJ3開幕戦では、昨年4位の鹿児島ユナイテッドFCを撃破。昨年7月23日以来の公式戦勝利をあげた。

また、ホームで行われた第2節には、5000人近い観客が訪れると、ホームでは昨年3月以来、実に1年ぶりの勝利。試合後に選手とサポーターが踊って喜びを分かち合うシーンを見ると、「最高の光景だよね。何回でも見たいね」としみじみ。クラブは15日時点で4勝1敗2引き分けで首位を走っている。