独占インタビューに応じた平野歩夢【写真:荒川祐史】

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打倒ホワイトへ、決勝にかける胸中吐露「やれることをやって、いい結果になればいい」

 平昌五輪は13日、スノーボード男子ハーフパイプ予選がフェニックス・スノーパークで行われ、ソチ五輪の銀メダリスト・平野歩夢(木下グループ)が2本目に95.25点をマーク。3位で14日午前10時30分から行われる決勝に駒を進めた。日本の金メダル第1号の期待がかかるスノーボード界の逸材は予選直後、20時間後に迎える大一番への意気込みを「THE ANSWER」に独占告白した。

 確実に、大事に――。それでも平野は高く、優雅なエアで観衆を魅了した。1本目は4位。そして2本目、大技を封印し、クオリティの高いエアを並べた。95.25点に会場は沸いたが、この日がまだ、本番じゃない。

 競技を終えてからほどなくした午後3時過ぎ。インタビューに応じた平野は努めて冷静に振り返った。

「予選だったので確実に決めたいと。それを自分で、確実なものに高さをプラスして滑った感じです。決勝じゃないので、決勝のことを考えて、(決勝へ)上がれる滑りをしたというところです」

 19歳ながら、積み上げたキャリアは百戦錬磨。先日、Xゲームで史上初めて成功させた「フロントサイドダブルコーク1440」から「キャブダブルコーク1440」の連続4回転は温存した。あくまでピークを持っていくのはファイナルの舞台。オリンピックのメダルを争うハーフパイプの中だけだ。

「あとは、やれることしかやれない。やれることは……自分の滑りというか、やれることをやってそれが“いい結果”になればいい」

 自分を信じ、戦い抜けば、必ず結果がついてくると確信している。

スノーボード界の枠を超えた重圧を跳ね返し、高い壁に挑む

 15歳で出場したソチ五輪で銀メダルを獲得。一躍スターダムにのし上がった。あれから4年。日本のスノーボード界のエースとして、迎えた平昌五輪。メダルを取って当然、金メダルも狙える。そんな期待、重圧を19歳は正面から受け止め、向き合っている。

「雰囲気にもっていかれないように調整しながら、自分のことをコントロールしている。プレッシャーとかも感じるところはありますが、そこは見ないようにして、自分のことに集中したい。準備はしてきたので、それができればなと、自信をもってやりたいと思います」

 立ちはだかる壁は高い。06年トリノ、10年バンクーバーの金メダリスト、“レジェンド”ショーン・ホワイト(米国)、昨年の世界選手権王者スコッティ・ジェームズ(オーストラリア)の2人とのガチンコ対決が待っている。予選で平野を上回るスコアをホワイトも、ジェームズもまだ、余力は十分に残している。それぞれが、自慢の刃を懐深くしまったままの前哨戦でも、ため息が漏れるほどのバトルを展開してみせた。3つ巴の金メダル争いは空前のハイレベルになることは間違いない。

 これだけの強敵を目の前にしても、平野は憶することもなく、また激しく昂ぶることもなく、淡々と言葉をつないだ。

「究極の滑り」、果てしなく大きな夢、それを現実にする力がある

「ショーンだったり、スコッティだったりと、自分がやれる技はほとんど変わらないと思う。自分は、高さと難易度で、見せつけられればいいと思っている。その滑りがしっかりできれば、いい結果になるのかなと思います」

 ただ、再度の“いい結果”の部分に込められた思い。それはむろん、表彰台の頂点。はっきりとした、決意をもって、決戦に挑むということだ。2018年――。平野はスノーボーダーの域を超え、日本を代表するアスリートへと進化を遂げる。

「世界中の人たちが見ている。チャンスかなと、大きい影響を与えられたらいいと思います。究極の滑り? それができればいいなと思います」

 “究極”、それは誰も寄せ付けない、圧倒的な高み。その言葉は決して、無謀なものには映らない。平野は頂点への道をアユム。(THE ANSWER編集部)