街の穴場グルメを知るには、その街で働く人に尋ねるべし! 今回は、新旧さまざまな店がひしめく新宿エリアを特集する。

案内役は『三越伊勢丹』でWEB制作を担当する笠原木綿子さん。あの『三越伊勢丹』社員が普段行きつけの新宿の穴場店なんて、期待が高まる。

普段から食べ歩くのが大好きというグルメな笠原さんらしく、知る人ぞ知る通な店が続々登場! 新宿という街の懐の深さを再確認できる、名店5軒をご紹介しよう。




泣く子も黙るトレンドの殿堂『伊勢丹 新宿店』を背に、いざ昭和の雰囲気を残す洋食店へ。ちょっとしたタイムスリップを楽しもう
ファミレス価格でこの旨さ! ザ・昭和な雰囲気も素敵な『レストラン はやしや』

現『株式会社 三越伊勢丹』に入社して以来、新宿勤務歴は20年以上。もはや“新宿=庭”状態の笠原さんにおすすめの飲食店を聞くと、早速ずらりとリストが届いた。

そんな中でも「東カレ」初登場となる、穴場感満載の店が、このレトロな洋食屋『はやしや』だ。



今年創業67年を迎えた『はやしや』。元々ビル2階にあった店を、30年ほど前、ディスコだった5階のこの場所へ移したのだそう

場所は『伊勢丹 新宿店』からぐっと歌舞伎町方面へ進んだ靖国通り沿い。1階にゲームセンター、地下にスーパーマーケットが入る雑多な雰囲気のビルだ。こんなところにレストランが…? 不安になりつつエレベーターで5階へ向かうと、降りた瞬間目に飛び込む“ザ・昭和”な佇まいの洋食店!

「最初に来たとき、入り口に並ぶ食品サンプルにときめいちゃって(笑)。オムライスやハンバーグといった錚々たる洋食メニューは、どれもとてもリーズナブル。そしてB級グルメなんて呼べないくらい、お味はA級なんです!」と笠原さん。



チキンライスの具は、鶏肉、玉ねぎ、マッシュルームの王道トリオ。「今どきのふわトロ系ではない、薄焼き玉子にも魅かれます」。
あのマツコ氏絶賛のオムライスや、玉手箱のような洋食プレートも!

笠原さん絶賛の「オムライス」は、なんと690円のバリュープライス。「マツコの知らない世界」のオムライス編でマツコ・デラックス氏が「完璧」と評し、話題を集めた店でもある。

中のチキンライスが絶品!オムライス用に硬めに炊いたご飯が、しっかりめのケチャップ味をまとい、口内でパラパラと解ける。



洋食店の人気者をすべて詰め込んだような夢のプレート! ハヤシには2種のフォンを使い、ハンバーグも毎朝手ごねするなどのこだわりが

現店長・小林幸雄さんのアイデアから生まれたのが「昭和のプレート」1,280円。1949年の創業当時、洋食店で人気を集めたハンバーグ、ポークソテー、エビフライの3大鉄板アイテムに、サーモンソテー、カレーもしくはハヤシが付く豪華な復刻メニューだ。

小林さん自身、小さい頃は『伊勢丹』と『はやしや』(当時の店名は『三平食堂』)をはしごするのが楽しみだったという。今や3世代で通う家族もいれば、30年以上(!)毎日食べにくる常連客もいるそうだ。これほどまでに愛される店が、この先も50年、100年と続くことを願いたい。


デミグラスソースたっぷりのステーキだって千円ぽっきり!



ビーフミニッツステーキ¥1,080。オニオンソテーやマッシュルームが入ったデミグラスソースを、たっぷりと贅沢にかけて
美味しい料理を食べながら街を眺める、これぞ新宿の特等席!

元々地下のスーパーが行きつけだった笠原さん。5階にレストランがあると知り、定期的に食事をする気の置けない友人を誘ったのが、ここを訪れた最初のきっかけとか。

「でも、実はこのビルと『伊勢丹』は昔から繋がりが強くて。上の階にある宴会場には何度もお世話になっています。最近は少し変わったかもしれませんが、『伊勢丹』って結構体育会系の会社なんですよ(笑)。思い切り働いて、思い切り飲む! そんな気取らない感じの飲み会が多いです」。

気取らずに美味しい、古き良き洋食屋の風情を楽しもう。




蔦の絡まる外観や、年季の入った内装も味わい深い名酒場。具だくさんのナポリタン¥850は、隠し味にアサリを使う。
新宿を見守り続けて60余年。渋い雰囲気、そして旨い酒と料理がある『どん底』

1951年創業、三島由紀夫など多くの文化人に愛された新宿の老舗。笠原さんのお気に入りは地下のカウンター席で、ときにはひとりでゆっくり過ごすことも。

「楽しみなのが、顔なじみのマスターの毒舌トーク(笑)。この店のカウンターに座っていると、自然とお客さん同士の輪が広がって、色々な方とお友達になれるんですよ」。

バーといえど、フードメニューのレベルの高さもよく知られるところ。ファンの多いナポリタンやピザは、笠原さんにとっても外せない逸品だ。「ちょっと1杯飲むつもりでも、絶対最後に締めを食べてしまうお店です」。




新宿御苑に面した静かな一角にある『礼華』。名物でもある「上海蟹(メス)の姿蒸し」は、10月上旬〜1月中旬の限定メニュー
まさに洗練の極み! 大切な食事会にも最適なヌーヴェルシノワ『礼華』

普段はオーセンティックなお店に行くことが多い笠原さんだが、「取引先の方に連れていっていただき、とても好きなお店になりました」と話すのが、ヌーヴェルシノワの名店『礼華』。「何度行っても、味付け、盛り付け、サービスのすべてが申し分なし! 満足度が高いです」。

上海料理をベースにしながら、広東料理や四川料理、ときにフランス料理の技法も取り入れ、旬の素材を大切にした料理の数々は、“洗練”という表現がぴったりハマる。「実はまだ自腹で行ったことがないのですが、いつか、とっておきの場面で利用したいと思っています」。


ランチタイムは『伊勢丹』の社食状態! 中毒者続出のニンニク満点パスタ



食後の予定なんて気にしていられない? 大量のニンニクが入った熱々の濃厚スープに、中毒者続出。くれぐれもソースの跳びはねにご注意を
ランチ時は『伊勢丹』の社食状態に! ボリューム満点の『IVO ホームズパスタ』

名物は、皿からあふれんばかりのスープがインパクト抜群のパスタ。「私は、たとえ勤務中のランチでも『にんにくとトマトと唐辛子のスパゲティー』(1,150円)一択です!(笑)」と笠原さん。定期的に思い出しては食べに行く、不思議な魅力のパスタなのだとか。

『伊勢丹』では、新入社員が先輩から「パスタならここ!」と教えてもらって食べに行くのが伝統化。「ときどき、周りがうちの社員だらけなんてことも。お昼は混みますが、ピークを外せばゆっくりできますよ。ひとりランチにもおすすめ」。

※姉妹店は渋谷『ホームズパスタ』。現在新宿店は改装のため休業中。




“洒脱”とはまさにこのこと! シャンデリアや壁のエンブレムが燦然と輝く、1967年創業のオーセンティックなバーだ
格式の高さに反したリーズナブルさに驚く『サントリーラウンジ イーグル』

「新宿アルタ」裏の細い階段を降りた先に広がるエレガントな空間。蝶ネクタイ姿の熟練バーテンダーが物腰柔らかに迎えてくれる、格式の高い正統派のバーだ。が、驚くなかれ、ウイスキー類が250円からというリーズナブルさ!「この特別なよさをわかってくれる、大人な友人や先輩と来たいお店ですね」。

本格的なフードメニューにも定評がある。笠原さんのお気に入りは秘伝のゴマ味噌が添えられた「野菜スティック」と「ビーフストロガノフ」。「ハイボールも秀逸。炭酸が柔らかくて美味しいんです」。



■今回ご協力いただいた『三越伊勢丹』『伊勢丹 新宿店』
1886年東京・神田に呉服店として創業し、1930年に設立された『株式会社 伊勢丹』。2011年に『株式会社三越伊勢丹』として生まれ変わり、日本のファッションシーンをリードする。1933年に開店した『伊勢丹 新宿店』は国内外の注目を集めるトレンドの殿堂。
http://www.imhds.co.jp/
http://isetan.mistore.jp/store/shinjuku/index.html