冬のデートの鉄板ワードと言えば「鍋行かない?」で異論はない(はず)。言いかえれば、この時期女性は四方八方から鍋の誘いを受けている。もはや、普通の鍋では意中のあの女性の心を掴むのはムズカしいのだ。そこで、“トマトすき焼き”などが登場した先週に引き続き、定番鍋だけど、どこか違う……。そんな“進化鍋”を今週も伝授!



出汁にくぐらせ旨みが凝縮したブリを、2種類の塩で楽しむ
『和味 大輔』の“ぶりしゃぶ”

白金台


〜鰤の旨みを塩で引き立てる味のわかるオトナ好みの鍋〜

魚料理と日本酒のセレクトが評判の『大輔』。冬の名物「ぶりしゃぶ」は、2種の塩でいただくのが大輔流。鰤は築地から佐渡産や富山産など、おすすめを仕入れ、脂乗りのいい腹身のみを使用。

「出汁にくぐらせると余分な脂が落ちて旨みが凝縮する」と店主。

とろける食感をさっぱりハイビスカス塩で、はたまた、香り豊かな燻製塩でと愉しめる。好みを聞きあいながら鍋をつつけば、ふたりの距離も縮まるはず。



ぶりしゃぶ(コースはひとり¥8,400)。薬味はスペイン産の2種の塩と、酒のつまみにもなる鬼おろしが付く。カウンターで店主と会話も楽しむもよし、個室でしっぽり過ごすのもよし

〆は鰹と鰤で取ったベースに、ぶりしゃぶの旨みが加わった絶品出汁で雑炊に。奥久慈卵でまろやかに仕上げる



手間ひまかける自家製ソーセージ 牛ほほ肉はスープで煮込むことでより柔らかく風味豊かに。2日かけて作る自家製ソーセージは味が染みるように平らにスライス
『マルミット』の“オリジナル洋風鍋”

赤坂


〜〆が3回変化する?最強の味変鍋〜

大阪のグルメ通を唸らせた洋風鍋が東京に登場。店主が「東京にも自慢の味を広めたい」との想いで、17年間愛された大阪・天満橋の店を閉め、2014年11月、赤坂に移店。

「マルミット鍋」(1人前¥4,000)は一見普通のポトフのようだが、侮るなかれ。驚きのコク深いブイヨンは、牛豚鶏と香味野菜を時間差で煮込み、旨みを最大に引き出すために2日がかりで仕込むと言う。コラーゲンたっぷりのスープに、彼女も目を輝かせるに違いない。



【〆?】最初の〆は、あっさりスープに合うフェデリーニでスープパスタ。唐辛子オイルとガーリックオイルを合わせればアーリオオーリオ風に

鍋の具材は、野菜ときのこ、蛤、烏賊、牛ほほ肉、自家製ソーセージなどたっぷりの海の幸と山の幸。まずはシンプルにそのまま、次に5つの薬味で味の変化を楽しんで。

そして、ここからが『マルミット』の真骨頂。具材の風味がさらに加わった極旨スープを、パスタ、フォンデュ、リゾットの順にシメ! 少量ずつのポーションだから、最後のひと口まで美味しくいただけるのもポイント高し。めくるめく味の変化に2人の興奮も最高潮に。華麗なる鍋のトリプルアクセルを、ペアでぜひ体感あれ。



【〆?】第2弾は、バゲット、ブロッコリー、チーズでフォンデュ。まるで、オニオングラタンスープのような味わい。薬味でアレンジしても美味

【〆?】最後は、旨みが凝縮したスープにごはんを入れてリゾットに。トマトソースとバジルソースを加えて炊くと、より美味しくなるとのこと

トマトソース、バジルソース、ガーリックオイル、唐辛子オイル、マスタードの5つの薬味。マスタード以外すべて自家製

今が旬のぶりやこだわりの自家製ソーセージの鍋をご紹介!



石鍋は食材がじっくり軟らかく煮えるのだとか
『石頭楼 アネックス』の“石頭火鍋”

六本木


マンションの数フロアにわたる部屋を利用した石頭楼本店は、看板がない六本木の隠れ家鍋レストラン。その本店近くにあるのが、一軒家のアネックス。

こちらは2階建て一軒家にゆったりと席をとり、名物の石頭火鍋を心ゆくまで味わえる。石頭楼の石頭火鍋は、オーナーが台湾で食べて感動したという料理。

古くは韓国の宮廷料理であったというが、そこから台湾に伝わり、現在の形に。石頭楼ではさらに日本人にも喜んでもらえるように工夫を凝らし、雅で贅沢な味わいに仕上げている。



石頭火鍋はポン酢ダレと、腐乳をアクセントにした卵ダレで食べる

まず韓国産の角閃石で作った鍋を熱し、そこにたっぷりの胡麻油を入れて、豚のばら肉と牛の肩ロース肉を炒める。

いったん肉を取り出して鶏がらスープを入れ、具を加え、肉を戻す。一度油通しすることで、肉は煮ても硬くならず、旨みが内側に閉じ込められるという。

石の鍋でじっくりと熱を通したさまざまな具材から、旨みが出て混然一体となったスープには、最後に卵麺を入れる。

味付けはシンプルに醤油ベースのタレとネギだけ。ごま油の香りが高いこの鍋のスープは、麺との相性が抜群だ。リッチな鍋のスープを使った麺は、この料理を食べなければ味わえない希少なラーメンなのだ。



「〆の醤油ラーメン」胡麻油が香る石頭火鍋の残りのスープで食べるコシのある卵麺のラーメン。肉を焼いた旨みと、野菜や魚介を煮込んだ旨みを胡麻油がひとつにまとめあげたスープは絶品。あっさりとした醤油ベースの味付けも、鍋コースの〆にピッタリ



濃厚スープに合う前沢牛の霜降りロース 肉はオーナーが厳選した前沢牛の霜降りのロース肉を使用。濃厚な鶏ガラスープと抜群のコンビを見せる。1人前¥3,400(2人前〜)
『ちゃんこダイニング桜一』の“前沢牛のちゃんこ鍋”

三軒茶屋


〜肉食女子も納得の今に蘇るちゃんこ鍋〜

三軒茶屋の裏路地にひっそりと店を構える『ちゃんこ桜一』。雰囲気あるその空間も相まって、しっぽりとふたりで鍋をつつきながら最高の時間を過ごすことのできる、正に隠れ家的なお店。

ここでいただけるのは、70年の歴史を誇る「ちゃんこ鍋」。秘密は12時間以上じっくりと煮込んだ秘伝の濃厚なスープにあり。オーナーの竹澤一郎氏いわく「青森十和田産の鶏のガラを最大限に引き出します。洋食のブイヨンやフォンドボーのような感覚で、スープだけでおかずになるくらいに濃厚に仕上げている」とのこと。



締めはうどんもあるが、鶏ガラスープをたっぷり吸ったフカヒレ雑炊も楽しめる

そんな濃厚スープに負けない存在感を見せるのが前沢牛。見た目にも鮮やかな霜降りの肉は、口に入れた瞬間にジュッと脂が溶け出してホロホロと蕩ける……「肉食女子」も納得の逸品だ。

こちらのメニューは前沢牛をベースに月替わりで具材が変化。12月は北海道産の鱈と三陸産の牡蠣、1月はあんこうや餅など、その時々の旬のものを取り入れた豪華な一品となっている。



従来のちゃんこ屋のイメージを覆す雰囲気ある空間。パートナーとじっくりと鍋を挟んで会話が楽しめる