「12軒の撮影のため200軒回る」『孤独のグルメ』制作スタッフの苦労
毎週金曜の深夜、テレビ東京系列で個性的なドラマの数々が放送されている。それが「ドラマ24」だ。単なるドラマの枠を超えた存在の番組として、人気を集めている。この10月から「ドラマ24」10周年を記念すべき作品としてスタートしたのは『孤独のグルメ』Season5。
輸入雑貨商の井之頭五郎(松重豊)が、仕事の合間におなかをすかせ、さまざまな店と味に出合う。Season4までが作られ、登場した店を探し出して訪れる“巡礼”ファンも多い人気シリーズの第5弾だ。「ドラマ24」枠での放送は、今回が初めて。ドラマのスタートから番組に携わる、吉見健士プロデューサーに、番組ならではの苦労を聞いた。
番組に出れば、お客は増える。ならばお店には歓迎されそうだが、断わられることもしばしば。番組で見つけるのは、家族経営でほかにはない味を出すような店が中心。そのため、家族の意見が一致しなかったり、常連客に気を使ったりするケースが多いのだ。
「逆に『うちを出してください』というお話もあるんですが、このドラマは、すべて僕らが見つけたお店に、頭を下げて出ていただくのが基本と思っています。だからOKをもらえたら、最初にお店を見つけたスタッフの手柄なんです。かといって、どんな店が『孤独』に向いたお店かと言われても、困るんですけどね(笑)。五郎は腹が減るから店を探すわけで、食通ではないし、こだわりもない。だから、かえって難しいんです」
今回のSeason5は「ドラマ24」の枠に入ったため、前シリーズよりも放送時間が数分間、短いものになっている。
「しかしドラマとしては、まったく変わりません。松重さんも、メニューを完食してくれます。ただ、これまで人気があったため、ドラマの中盤で登場させていた“キラーコンテンツ”の焼き肉を、1話目に持ってきました。これはハードルを上げて、もっとがんばろうという僕らの気持ちです。今日もドラマの撮影をやっていますが、終わったら店探しに歩きますよ(笑)」