ネット上で「今亀庵(いまかめあん)」のハンドルネームで知られる65歳の男性投資家は、株式投資で退職金の2000万円をわずか6年で100倍の20億円に増やした。今亀庵氏は、自身の投資哲学をこう語る。
 
「学生時代に数十冊の投資の本を読み漁り、統計学的に小型成長株に長期投資すれば儲かることがわかりました。時価総額の大きい大型株だと、どうしても20%、30%といった大きな成長は望めないし、株価も大きくは動かない。成長率の高い小型株を3〜5年持てば勝てる確率が高まる」

 今亀庵氏の銘柄選びに何も特別なものはない。使うのは『会社四季報』だけである。2年ほど前までは四季報をひたすらめくっていたが、現在はCD-ROM版に切り替えたそうだ。

 まず有望と思われる業種を選び、そのなかから売上高の伸び率が20%、30%といった高成長の銘柄に絞り込む。

「利益も見た方がいいのかもしれませんが、売上高さえ伸びていれば利益はついてくるものなので、できるだけシンプルにしています」

 選んだ銘柄のデータを表計算ソフト(エクセル)に手で入力していく。そして、直近5年平均の売上高成長率や業界の動向などをもとに、向こう5年間の業績を予想する。

 さらに割高でつかまないようにするために重視している指標が「PER(株価収益率)」だ。株価を1株当たりの予想純利益で割って算出されるPERは、一般的に「低いほど会社の利益に対して株価が割安」と考えられる。

 たとえば今後5年間の予想成長率が毎年10%の場合、PERが10倍なら株価は妥当な水準と見る。いくら成長率が高くてもPERが50倍、100倍といった銘柄には手を出さないという。

「PERが低いほど値下がりリスクは低くなる。『今後の売上高が20%の伸びが期待できて、PERが10倍以下なら割安』と判断するようにしています」

 現在のPERだけでなく、5年後のPERも推計して判断するのが今亀庵流だ。具体的には、こんな具合に進めていく。

 現在、氏が注目している業種は不動産や金融、ITを駆使したサービス業など。

「特に不動産は相続税対策として関心が高まっている。現金よりも相続税の課税額を小さくできるので、富裕層のお金が回ってくることが期待されます。加えて地価全体で見れば、まだリーマン・ショック前の水準に戻っておらず、円安を追い風に外国人の不動産購買欲も高まっています。当面は不動産会社がその恩恵を受けるでしょう」

※週刊ポスト2015年7月31日号