「世界ペンギンデー」である2015年4月25日に、市民科学プロジェクト「Penguin Watch」が1年にもおよぶ調査の結果判明したペンギンの知られざる生態を明らかにしました。

Secret life of penguins revealed for World Penguin Day | University of Oxford

http://www.ox.ac.uk/news/2015-04-25-secret-life-penguins-revealed-world-penguin-day

2014年に発足した「Penguin Watch」は、オックスフォード大学の科学者たちが中心になって運営しています。プロジェクトはオーストラリア南極領土にある約100ヵ所のペンギンの居留地近くに調査用遠隔カメラを設置し、撮影したペンギンの写真をオンラインにアップロードして、誰でもアクセスできるようにしました。

今まで調査はGPSでしかできませんでしたが、カメラの導入によってペンギンと接触せずに調査が行えるようになり、また、コマ撮りすることで同時にたくさんの場所から情報を集め、場所ごとの比較もできるようになりました。17万5000枚にも上る写真は、オンラインで活動するボランティアが「奇妙な行動をしている」「驚く行動をしている」などとタグ付けしており、「ペンギンの冬の生活」「天候と人間の活動がペンギンの子育てにどう影響を与えているか」「ある居留地で、ある種類のペンギンの数が減り、他の種類のペンギンが栄えているのはなぜか」などの研究に役立てられました。

そんな中で分かってきたのが「ペンギンの居留地だけ雪が早く溶ける」ということ。以下のムービーは、ジェンツーペンギンの居留地を撮影したものです。

Penguins use poo to melt snow - YouTube

雪一面の場所に、グループを形成するペンギンたち。



4日後、ペンギンたちが集まっている足元の雪が茶色くになってきました。



約1ヶ月近く時間が経過すると、居留地以外は雪が残ったままですが、居留地は黒い岩肌が見えています。



これは先ほどとは別の場所に集まっているペンギンたち。



この場所は約6時間経過しただけで、雪が溶け岩肌が見える範囲が多くなりました。



ペンギンの足元の雪が他の場所よりも早く溶ける理由は、フンが集まってできた「グアノ」と呼ばれるものが雪を溶かしているからです。グアノは黒いので光をよく吸収し温度が高くなるので、他の場所よりも雪を早く溶かすことができる、というわけです。なお、ペンギンが集まってグループを形成しているのはペンギンが繁殖をするための行動です。

今後、「ペンギンが子どもにえさを与える頻度」や「異なる地域毎に子どもにえさを与えるため親ペンギンが海に入っている時間」などをカメラによって明らかにしたいと、オックスフォード大学動物学の研究主任であるトムさんは語っています。