ルールは簡単。10人子供を産めば、殺したい人間を一人殺していい。村田沙耶香の最新作品集『殺人出産』。そのタイトル作である中編小説の舞台は、〈殺人は悪だった〉時代から100年後の日本。避妊技術が発達し、セックスは〈愛情表現と快楽だけ〉のためにある。出産の主流は、人工授精。恋愛や結婚による出産はほぼなくなり、人口の減少は歯止めが効かなくなっていた。そこで海外から導入されたのが、出産のきっかけを殺意に求める