2013年夏の芥川賞受賞作家・藤野可織の、受賞後一冊目の単行本『おはなしして子ちゃん』(講談社)が出ました。短篇集です。10篇を収録しています。冒頭の表題作「おはなしして子ちゃん」とは、作中に登場する猿のホルマリン漬け標本に、登場人物である小学生・小川さんがつけた名前です。「おはなしして子ちゃん」は、語り手の〈私〉が小学校時代の思い出を語るという形で始まります。当時同じ学級でいじめられていた小川さんは、