三浦しをんは『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を、『舟を編む』で本屋大賞を受賞した、いまや押しも押されもせぬ人気小説家である。私事で恐縮だが、筆者の密かな自慢は、そんな彼女の作品をデビュー作の『格闘するものに◯』からリアルタイムで追いかけており、ほとんどの作品を読んでいることだ。だから特に彼女が本屋大賞を受賞した際にはまるで自分のことのように嬉しかったし、「すっごく面白いんだよ!」と彼女の作品を友人