「足の上に物を落とされてね、うっかり『イタイ!』なんて日本語を口にしたら殺された。だから母の部族の刺青を腕に入れて、フィリピン人のふりをして生き延びてきた」かつて、そう話してくれたのは、フィリピン南端のミンダナオ島ダバオ郊外に住む高森義鷹さんだった。1931年生まれの高森さんは、戦前にフィリピンに移住した広島出身の父と、ミンダナオの山岳民族であるタガバワ族の母を持つ。当時、米軍の統治下にあったフィリピ