近鉄百貨店 収益改善へ140億円投資、あべのハルカス本店の立て直し急ぐ

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 近鉄百貨店が、旗艦店とする「あべのハルカス近鉄本店」の立て直しを図る。2015年2月期の連結業績は、初年度の目標を大きく下回った同店舗の影響等で純損益は20億円の赤字を計上。改装などを行い、今後3年間かけて、目標未達の売場や館内の回遊性等の課題改善に取り組む。 あべのハルカス近鉄本店テコ入れの画像を拡大

 昨年3月にグランドオープンしたあべのハルカス近鉄本店は当初、取扱高ベース売上高で1,450億円を目標としていたが、大幅に下回る1,115億円で着地。新規の取り込みを狙った若年層と子育てファミリー層に向けた商品・サービス訴求が苦戦していることや食品売場の買回りの不便さを課題に挙げており、ヤングレディス専門店ゾーンの再編集とフロア構成見直しの一環として「ソラハ(solaha)」は売場を縮小するとみられる。他にもプロモーションの強化や積極的な改装・店舗入替を順次実施。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとの協業、訪日外国人向け専用サロンの新設などを通じてインバウンド需要も取り込んでいくことで、2017年度の取扱高は1,180億円を目指す。 10日に公表された中期経営計画では、軸となるあべのハルカス近鉄本店の収益改善にあわせて、多機能型百貨店の確立に向け、地域中核店ではリ・モデルを積極的に推進。両店舗間でMD面の相互補完を実施する。一方で、新たな小売業態への参入や新規商業施設事業の開発に向けた取組み、EC事業の推進など、百貨店業を中心とした収益構造からの脱却を目指すことで、全体の業績を押し上げる。2017年度までの3年間に投資する額は合計140億円を見込む。