写真はイメージです(Photo by Junpei Abe via Flickr)

写真拡大

 ネトウヨのほとんどは中年だという声がある。2ちゃんねるが登場し、全盛期を迎えた2000年代初頭に20代、30代前半だった者がそのまま40代を迎えたためというのがその根拠だ。このアラフォー世代ネトウヨといえば、とかく「無職」「引きこもり」「ニート」といった属性が思い浮かぶ。

 だが意外にも、これらと対極の位置にあるキャリア公務員、銀行、証券などの金融機関勤務、大手新聞記者といったエリート層もいる。今回は、そんなエリート中年ネトウヨの本音に迫ってみたい。

 10代、20代の若年層ネトウヨや自衛官の間で絶大な支持を誇る某S紙記者の佐々木智明さん(仮名・41歳)は、選挙権を持つようになって以来、ずっと自民党、次世代の党など保守系政党にしか一票を投じたことがない「バリバリの保守」を自認する。そんな彼は多忙な記者生活の合間を縫って2ちゃんねるやTwitterで「ネトウヨ」として活動している。

「最近はもっぱらTwitterを主戦場にしています。2ちゃんはもう昔ほどの活気がないので。田母神俊雄元空幕長(次世代の党副代表)を応援しています」(佐々木記者)

 Twitterでは「裏垢(匿名の裏アカウント)」を用いてまで田母神元空幕長を応援する理由を、佐々木記者は「国の根幹を揺るがす重要な事柄であるにも関わらず戦後日本がずっとタブー視してきたことを明確に述べているから」だと明かす。

「田母神氏といえばその経歴から安全保障のエキスパート、保守的な国家観の論客というイメージが強い。だが『女性が専業主婦でも家計が成り立つ社会』『所得税優遇による人口の広域分散化』『子どもの数による年金額増額』といった政策は意外にも知られていない。保守政治家がこうした政策を掲げているということを、個人の立場で伝えていきたい」(同)中年ネトウヨが期待する若手ホープ・和田正宗次議員

 霞ヶ関の中央官庁に勤める課長補佐クラス、いわゆるミドル層の間にもエリート中年ネトウヨがいる。経済官庁で課長補佐職に就く大原強志さん(仮名・38歳)はこう話す。

「オーソドックスな保守政治観があり、かつ既存の既得権益のしがらみに左右されない政策本位の政党は、次世代の党しかない。自民党や民主党、公明党ではダメです。その屋台骨は平沼赳夫党首、中山恭子参院議員といった経済に明るい政策通だ。若手では和田正宗参院議員のような政策通もいる」

 和田正宗参院議員は、東日本大震災で被災した宮城県を選挙区とする。元NHKアナウンサーとしての経歴で知られる。復興に絡め、東京に一極集中する首都機能を一部仙台に移転、仙台を貿易拠点都市にするなど政策を掲げている。今、霞ヶ関では、深く、静かに人気のある若手政策通として期待される議員の一人だ。

「首都機能一部移転、東北を貿易拠点とするなどの政策は既存政党ではなかなか打ち出せない。しがらみがないからこそ言えること。そこに清新さを感じる」(大原さん)

 大原さんもまた2ちゃんねるやTwitterで次世代の党の応援に余念がない。ただ残念なのは、「10代、20代の若いネトウヨたちが国家観やイデオロギーの話に終始して経済や教育政策への議論を行なうことが少ない」(同)ことだ。

 たしかに2ちゃんねるをはじめとするSNS上における10代、20代のネトウヨ層の書き込みには安全保障、外交、産業経済、金融といった政策論に踏み込んだものはほとんどみられない。こうした層に向けて「正しい保守と政策の各論を啓蒙する」ために大原さんはネット上での書き込みをこれからも続けていくと話す。次世代の党の経済施策に銀行マンも賛同!?

 一方、金融界、銀行、証券業界にもエリート中年ネトウヨはいる。3大メガバンクのひとつで調査役として勤務する中川宏行さん(仮名・41歳)は、自身を「ヘビー2ちゃんねる&Twitterユーザー」と称する。

「次世代の党を応援するのは、公明党に引きずられている自民党がだらしないから。ただイデオロギー的なものではなくあくまでも政策本位。『農業』『医療・福祉』『エネルギー』など、これまで経済成長を阻害してきた分野への新規参入を認める規制緩和政策への期待に尽きる。次世代の党が政権に影響力を与えるようになれば日本は大きく変わる」(中川さん)

 金融界でも、実は次世代の党、平沼赳夫党首、中山恭子参院議員の人気は高い。平沼党首は経済産業大臣経験者、中山参院議員は財務省出身という理由からだ。

 ある著名エコノミストは、10代、20代のネトウヨを評して「左翼は結局国を変えることはできなかった。そのアンチテーゼとして右に走る」と言った。

 イデオロギーのみを語る10代、20代のネトウヨと違い、政策本位で語る中高年エリートネトウヨの存在はこれからの社会に少なからず影響を与えるのか。今後の行く末に注目したい。

(取材・文/秋山謙一郎)