『ペテロの葬列』 
TBSの2014年7月期月曜ミステリーシアター。原作宮部みゆき(集英社)。主演小泉孝太郎。

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9月15日(月)、衝撃のバスジャックからはじまったドラマ『ペテロの葬列』がいよいよ最終回だ。
見逃したって人もだいじょうぶ。
今までのダイジェストと第9話、第10話の再放送がある。
9月15日(月)午後1時57分〜3時50分(一部放送されない地域もあるそうなので、詳しくは番組表を!)。

主人公の杉村三郎は、変わった探偵役だ。
今回のエピソードでは、事件の犯人は最初からわかっている。
それどころか、バスジャックをした佐藤一郎はすでに死んでいる。
犯人を突き止めるわけでも、トリックを暴くわけでもない。
ミステリー的な大きな謎はない、とさえ言える。
杉村三郎は、事件に巻き込まれ、コンツェルンの広報室副編集長兼記者として、
同時に、コンツェルン会長であり義父である今多嘉親の命によって、
事件の概要をレポートとしてまとめなければならないという立場だ。
いわば、事件を腑に落ちる形にまとめるために奔走しているおひとよし探偵。

“悪は伝染する。いや、すべての人間が心のうちに深く隠し持っている悪、いわば潜伏している悪を表面化させ、悪事として発症させる<負の力>は伝染すると言おうか。”(宮部みゆきの原作『ペテロの葬列』P356より)

これまでのシリーズ同様、ドラマは、原作をていねいに映像化した。
レンブラント『聖ペテロの否認』以外の絵が出てくるのはドラマオリジナル。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール『いかさま師』やエドヴァルド・ムンク『思春期』が飾られてるってどんな喫茶店だよってツッコミもいれたくなるが。

最終直前回で、起きてしまう第二のバスジャック。
犯人から慰謝料をもらったことが警察にばれてしまった。
それは、元人質のみんなにどういう影響を与えるのか。
森元常務と妻の弥生、
パワハラの井手、
何者かにつきまとわれている間野京子はどうなるのか。
そして、原作『ペテロの葬列』では、最終話で唐突に明かされる「あれ」はどうなるのか。
予想外の事態で、「ええええええーーーーーー! ぎゃーーーーひどすぎる!」と読者を絶叫させ、読み返すと「そう言われればそうだけど、ううう、でも、でもーーー」と悶絶させた「あれ」。
ドラマでは、予感させるシーンがたくさん入っているので、原作とは違った印象を与える気がするが、どうなるのか?
そして、「あれ」を観た人はどうリアクションするのか?(終わったら、ツイッターで感想をチェックだ)。

ドラマ『ペテロの葬列』最終回は、放送時間が変わって(なぜ、なぜそんなことする!?)よる10時10分から。楽しみです。
(米光一成)