ノベライズ『HERO ヒーロー2014』(脚本:福田靖、ノベライズ:蒔田陽平/扶桑社)も発売され、ドラマ「HERO」もいよいよ最終回間近! 

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「彼ら、フットサルやってません」(井戸秀二)

9月8日放送のドラマ「HERO」第9話のテーマは、チームワーク。暴行致死容疑の被疑者4人を検事4人がそれぞれ担当し、大学生が仲間のひとりを集団暴行で死なせてしまったという事件の真相に迫る。凶器は見つからず、致命傷を与えたのが誰なのかも特定されていない。容疑者である大学生たちの供述も曖昧。どうも口裏を合わせているらしい。

苦戦する取り調べの突破口をひらいたのは事務官の“井戸ちゃん”こと、井戸秀二(正名僕蔵)だった。井戸は前作では城西支部の警備員として登場。4年前、国家二種試験に合格し、事務官になったという設定。14歳年下の妻と結婚したばかりで、「職場から毎日奥さんに電話してのろける事務官は勘弁してほしいです」(馬場検事)とうんざりされるほどの愛妻家でもある。

警備員から事務官になっても、そこはかとなく漂う頼りなさは健在。ただし、馬場検事が腹立ちまぎれに残業を押しつけたり、「井戸ちゃん、おごってあげるんだからちゃんとつきあいなさい」と泥酔してからんでも、いやな顔一つせず、根にも持たない。どちらかというと、縁の下の力持ち役の印象が強かった井戸ちゃんだが、今回はずばり事件の核心に切り込んだ。

馬場礼子検事(吉田羊)が被疑者にボール蹴るのって楽しいの?」と質問すると、被疑者の様子がおかしい。井戸ちゃんのメガネの奥の目がキラーン。すかさず「君のポジションは?」と尋ねる。被疑者の答えを聞いて、さらにキラーン。

「フットサルにはフットサルの用語があります。サッカーのフォワードにあたるポジションはピボ、ミッドフィルダーはアラ、ディフェンダーはフィクソ、そしてキーパーはボレロ。なので、彼らはやってません!」

フットサル仲間だというのがウソの証言だとわかり、城西支部は色めきたつ。大興奮の川尻検事部長(松重豊)は思わず「カツ丼でカツどーん!」と叫んでしまったほど。さらに、久利生検事(木村拓哉)のおでかけ捜査により、大学生たちがいつも行動を共にしていたという“大学教授のようなスーツの男”の存在が浮かびあがる。自称・大学OBの椎名大介(丸山智己)だ。

じつはこの椎名はオレオレ詐欺の元締めであり、大学生たちはフットサルではなく、オレオレ詐欺の仲間だった。さらに、亡くなった大学生に致命傷を与えたのも椎名。椎名の取り調べは久利生検事が担当するも、黒幕だけあって、のらりくらりと言い逃れようとする。

その頃、ほかの検事室では大学生4人への取り調べが行われている。それぞれの検事と事務官がコンビネーションプレイで被疑者の供述を引き出す様子も今回の見どころのひとつだった。

馬場 「学生が手をそめやすい犯罪ってなんだかしってる? まあ、いろいろあるけど。今はなんといっても詐欺よね」
井戸 「例えば振込詐欺とか。オレオレ詐欺、かあさん助けて詐欺っていう呼び方もありますねえ」
馬場 「椎名さんとあなたたちが詐欺グループじゃないって言えますか? 私の目を見て」

供述内容はオンラインで会話ができるサイト「CHATLiVE」で即座に情報共有。じつは大学生たちは椎名に脅され、言いなりになっていた。しかし、城西支部メンバーは根気強く質問を重ね、真実を引き出す。そして、ついに椎名は緊急逮捕される。

エンディングは城西支部のメンバーによるフットサル。サッカー日本代表のユニフォームを着たメンバーがフットサルコートに集合する。ビブス(ベスト状のゼッケン)を使わないと、敵味方の区別がつきづらいのでは……と少々気になったが、「(フットサル)先々週から始めたんです」という井戸ちゃん仕切りだと考えれば、これはこれでご愛敬。そんなことよりも円陣を組んだとき、田村検事(杉本哲太)と馬場検事の手が、川尻検事部長の背中の上でしっかり重ねられていたのが気になる。偶然なのか、それとも……!

「冗談ですよ」と笑い飛ばしながらも、ときどき不穏なことを口走る馬場検事と田村検事の関係はどうなるのか。麻木千佳(北川景子)と久利生検事の関係は恋に発展するのかしないのか、宇野検事(濱田岳)の恋の行方は……? と、気になることが山積みのまま、第10話へ。

予告動画では、麻木がいつものバーで泣き崩れ、「久利生さん間違ってません!」と叫ぶ。さらには深夜のオフィスで、白のタンクトップ姿の久利生が麻木のあごをクイッと持ち上げ……何だなんだ、急展開しちゃうわけ!? というシーンも登場。今夜9時から!
(島影真奈美)
*「HERO ヒーロー2014」(脚本:福田靖、ノベライズ:蒔田陽平/扶桑社)