実写映画化にモヤモヤしてるわたしが「ホットロード」を改めて読んでみた
“心を騒がせてしまいました。
ホットロードに描かれていない部分を
ご自分で描いてくださった大切な存在です。
いま、大人になられて
毎日懸命に生きておられるあたしの仲間。
ありがとう。”
(映画「ホットロード」公式サイト)
この夏、紡木たくの漫画『ホットロード』が実写映画化される。
コミックス第一巻が発売されたのは1986年。
当時、10代女子にとって紡木たく作品はバイブルみたいなもんだった。
紡木たくをまねたイラストをせっせとノートに書きながら、
夜中に原付で男の子が迎えに来るのをけっこう真剣に待ち望んでいた(黒歴史!)。
今回の映画では、主人公・宮市和希を能年玲奈、和希が惹かれる不良少年・春山洋志を
登坂広臣(三代目J Soul Brothers)が演じる。
かわいいし、かっこいいけど……。
ずっとモヤモヤしていた。
かといって、実写化なんてありえないと一蹴する気にもなれなかったのは、
二人を指名したのは、他ならぬ原作者の紡木たくらしいと知ったからだ。
(しかも、「あまちゃん」以前から注目していたという)
舞台挨拶も大盛況だった。能年玲奈が独特すぎるテンポでしゃべるたびに会場が沸く。
登坂広臣が真っ赤なハンカチを取り出し、汗をふくだけで会場中が「キャーーーー!」。
大騒ぎだ。
(詳しくは「玲奈ちゃんの腋が空いていたのでこちょこちょしました「ホットロード」舞台挨拶レポ/与儀明子」をどうぞ)
でも、モヤモヤは消えない。
腹をくくれないまま、原作を読み返してみて驚いた。
『ホットロード』ってこんな話だったっけ……!
主人公・和希は中学2年生で、母親と二人暮らし。
父親とは死別。母親には高校時代からの恋人(離婚調停中)がいる。
「望まれて生まれてきた子どもではない」という思いから逃れられず、母親とうまくいかない。
ある日、女友達に誘われるままに、夜の街に出かけ、
暴走族「Nights(ナイツ)」の特攻隊長・春山洋志(ハルヤマ)に出会う。
作品のなかの和希は、記憶にある彼女より、ずっと幼い。
「くーそババァっ」「ふーざけんじゃねーよ」と悪態をつきながらも
母親のいちばんのお気に入りだというナイトガウンを着続ける。
「なん…で帰って……こないの…? ママぁ…っ」と涙をこぼし、
何か事件が起きるたび、ママがああ言った、こう言ったと、モノローグが入る。
舞台挨拶のサプライズで現れた木村佳乃に、今にも飛びつきそうなほどなついていた能年玲奈の姿が重なる。
一方、ハルヤマは“いつ死んでもいーよーな目をしている”16歳。
母親の再婚相手に養われることをきらい、昼間はガソリンスタンドで働く。
夜はバーの呼び込みをしながら、Nightsの集会に参加。
和希いわく
「わがままでお天気やできげんの悪いときはひとをキズつけるよーなことへーキでいう…し」。
(和希は、自分の母親に似ているとも感じている)
「おまえ オレの女にならない?」
「いつもこんなふーにたすけてもらえると思うなよ」
「なんか…しんないけど…急におまえに電話したくなって…」
「だっておまえオレのことすっげー好きじゃん?」
「オレがいなきゃなんにもできねーよーな女んなるな」
わははは、ハルヤマかっけぇ。
“草食男子”なんて言葉がなかった時代の男子が繰り出すセリフの数々。
なつかしくて、くすぐったい。
記憶のなかでだいぶ美化してしまっていて、
「ハルヤマ=線が細くて、壊れちゃいそうだけど、めっぽうケンカが強い」
という、ほぼ実在しない生き物としてとらえてたけど、
今読み直してみると、ちょっと違う。
どちらかというと丈夫そうな悪ガキというかなんというか。
和希の母親の恋人や担任教師、ハルヤマの母親といった、大人たちのセリフもすごくいい。
リアルタイムで読んでいた頃は、まるで印象に残らなかったのに。
10代の頃とは、響く場所がぜんぜん違う。
そんな当たり前のことに気づかされるのは
ちょっと寂しい。でも、楽しい。
それにしても、こうして読み返してみると、
今回のキャスティング、ばっちりハマっている気が……あれ!?
漫画版が大好きで大好きで、実写化モヤモヤすんなーというみなさん、
よかったらもう一度、原作読んでみてください。
ひょっとしたらひょっとするかも!
映画「ホットロード」は8月16日(土)公開です。
(島影真奈美)
★文庫版
・『ホットロード 1』
・『ホットロード 2』
★Kindle版
・『ホットロード 1』
・『ホットロード 2』
・『ホットロード 3』
・『ホットロード 4』
ホットロードに描かれていない部分を
ご自分で描いてくださった大切な存在です。
いま、大人になられて
毎日懸命に生きておられるあたしの仲間。
ありがとう。”
(映画「ホットロード」公式サイト)
この夏、紡木たくの漫画『ホットロード』が実写映画化される。
コミックス第一巻が発売されたのは1986年。
当時、10代女子にとって紡木たく作品はバイブルみたいなもんだった。
紡木たくをまねたイラストをせっせとノートに書きながら、
夜中に原付で男の子が迎えに来るのをけっこう真剣に待ち望んでいた(黒歴史!)。
登坂広臣(三代目J Soul Brothers)が演じる。
かわいいし、かっこいいけど……。
ずっとモヤモヤしていた。
かといって、実写化なんてありえないと一蹴する気にもなれなかったのは、
二人を指名したのは、他ならぬ原作者の紡木たくらしいと知ったからだ。
(しかも、「あまちゃん」以前から注目していたという)
舞台挨拶も大盛況だった。能年玲奈が独特すぎるテンポでしゃべるたびに会場が沸く。
登坂広臣が真っ赤なハンカチを取り出し、汗をふくだけで会場中が「キャーーーー!」。
大騒ぎだ。
(詳しくは「玲奈ちゃんの腋が空いていたのでこちょこちょしました「ホットロード」舞台挨拶レポ/与儀明子」をどうぞ)
でも、モヤモヤは消えない。
腹をくくれないまま、原作を読み返してみて驚いた。
『ホットロード』ってこんな話だったっけ……!
主人公・和希は中学2年生で、母親と二人暮らし。
父親とは死別。母親には高校時代からの恋人(離婚調停中)がいる。
「望まれて生まれてきた子どもではない」という思いから逃れられず、母親とうまくいかない。
ある日、女友達に誘われるままに、夜の街に出かけ、
暴走族「Nights(ナイツ)」の特攻隊長・春山洋志(ハルヤマ)に出会う。
作品のなかの和希は、記憶にある彼女より、ずっと幼い。
「くーそババァっ」「ふーざけんじゃねーよ」と悪態をつきながらも
母親のいちばんのお気に入りだというナイトガウンを着続ける。
「なん…で帰って……こないの…? ママぁ…っ」と涙をこぼし、
何か事件が起きるたび、ママがああ言った、こう言ったと、モノローグが入る。
舞台挨拶のサプライズで現れた木村佳乃に、今にも飛びつきそうなほどなついていた能年玲奈の姿が重なる。
一方、ハルヤマは“いつ死んでもいーよーな目をしている”16歳。
母親の再婚相手に養われることをきらい、昼間はガソリンスタンドで働く。
夜はバーの呼び込みをしながら、Nightsの集会に参加。
和希いわく
「わがままでお天気やできげんの悪いときはひとをキズつけるよーなことへーキでいう…し」。
(和希は、自分の母親に似ているとも感じている)
「おまえ オレの女にならない?」
「いつもこんなふーにたすけてもらえると思うなよ」
「なんか…しんないけど…急におまえに電話したくなって…」
「だっておまえオレのことすっげー好きじゃん?」
「オレがいなきゃなんにもできねーよーな女んなるな」
わははは、ハルヤマかっけぇ。
“草食男子”なんて言葉がなかった時代の男子が繰り出すセリフの数々。
なつかしくて、くすぐったい。
記憶のなかでだいぶ美化してしまっていて、
「ハルヤマ=線が細くて、壊れちゃいそうだけど、めっぽうケンカが強い」
という、ほぼ実在しない生き物としてとらえてたけど、
今読み直してみると、ちょっと違う。
どちらかというと丈夫そうな悪ガキというかなんというか。
和希の母親の恋人や担任教師、ハルヤマの母親といった、大人たちのセリフもすごくいい。
リアルタイムで読んでいた頃は、まるで印象に残らなかったのに。
10代の頃とは、響く場所がぜんぜん違う。
そんな当たり前のことに気づかされるのは
ちょっと寂しい。でも、楽しい。
それにしても、こうして読み返してみると、
今回のキャスティング、ばっちりハマっている気が……あれ!?
漫画版が大好きで大好きで、実写化モヤモヤすんなーというみなさん、
よかったらもう一度、原作読んでみてください。
ひょっとしたらひょっとするかも!
映画「ホットロード」は8月16日(土)公開です。
(島影真奈美)
★文庫版
・『ホットロード 1』
・『ホットロード 2』
★Kindle版
・『ホットロード 1』
・『ホットロード 2』
・『ホットロード 3』
・『ホットロード 4』