劇場版『ペルソナ3』を見に行くともらえる、本物のビックリマンの作者描きおろしシール。そうきたかー!

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現在劇場版『ペルソナ3 THE MOVIE #1Spring of Birth』が公開中です。
続き物の第一話目です。
公開初日2日で、週末興行収入6位。26館小規模上映としてはすごい盛り上がり。
劇場版「ペルソナ3」 スクリーンアベレッジ1位 26館で週末興収6位スタート | インサイド

ぼくはねえ……待ったよ! やっとのアニメ化だよ! 『トリニティ・ソウル』も嫌いじゃないけど!
ただ、見て感じました。
『ペルソナ3』(以下P3)のアニメ化がテレビではなく劇場を選んだこと、そして7年経過した今作ったことは、大正解です。

●閉鎖空間で見たい映画
まず、テレビではなく劇場版という選択をしたのがよかった。
『ペルソナ4』(以下P4)は2011年にTVアニメになりました。
これはテレビ媒体でなければいけないんです。なぜなら0時にテレビに入って探索するゲームだからです。

一方『P3』は、高校生が影時間という午前0時の特別な時間の中で、迷宮タルタロスに入って戦う閉鎖的なゲームです。
ならば、日常から隔離され、暗くて閉鎖している映画館が最適なわけですよ。
真っ暗な劇場の中、影時間がやってきて時間が変わる瞬間の緊張感たるや。
不安を抱えた学生達の心理にのめり込めます。

そういう意味では、『P3』を全く知らないと、いまいち楽しめないです。
ゲームを全部クリアはしなくてもいいですが、「ペルソナとは自己の一部で、呼び出すことができる」などのルールは、最低限おさえてから見に行ってください。
ここを知っていないと、なんで頭バンバン撃ってるかわからないし、影時間の意味もわからない。ストーリーのキモを見逃すことになります。
逆に色々なペルソナシリーズに手を出している人ほど、楽しさは何倍にもなるはずです。

●空っぽな主人公の演出
映画は原作に忠実です。
無気力・無感動な主人公の結城理(ファン間の通称・キタロー)が寮に編入するところからスタート。
空っぽなゆえに、影時間になって町中がおかしくなってもまったく動じない描写は、なかなかクレイジー。キてる目をしています。
彼は、影時間を駆け回れるメンツと出会い、共に戦う……んですが、最初はその戦いすらも彼にとっては空虚。
次第に自分と向き合うことで、目に光が灯り、感情が芽生えていくのが、今回の映画の見所です。

例えばグッときた部分の一つは、結城理のペルソナである「オルフェウス」の名前の呼び方。
前半と後半で、まるで別物。前半は無機的なんですが、後半は叫びのようになるんです。
彼の中で、自分自身に対しての接し方や、仲間との距離感が変わっているのがここで表現されている。
自己を見つめ、人との絆を深めるほど強くなるのが「ペルソナ」シリーズ。そこがよく出ている演出でした。

●7年の熟成
ここまでなら、普通の映像化です。
今回の映画は7年間の変遷の積み重ねを上乗せしたことで、魅力がドンと増しました。
もともとの『P3』は割と殺伐としていて、人間関係もギスギスしたゲームでした。
その部分を変えるのではなく、ポジティブな成長譚としてのイメージを強化しました。

影響が大きいのは、2010年のPSP向けリメイク『ペルソナ3ポータブル』。
このゲームで、女主人公(通称・ハム子)が追加され、ファンを驚かせました。
ストーリーは同じです。しかしハム子は会話がサバサバしていて活発。あっけらかんとしているので、殺伐としていた特別課外活動部が、楽しい場所に感じられるようになっています。ほとんど別ゲー。こういうのもアリなんです。
2008年の『P4』の明るいイメージも大きい。世界観はP3とつながっています。
それもあって、2012年格闘ゲーム『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』(以下P4U)で共演。桐条美鶴や真田明彦やアイギスなどのキャラクター人気に、再度火が付いています。

こうして7年の間に様々な切り口が模索され、『P3』のイメージは「作り手」と「プレイヤー」の間で熟成されました。
誰かの「死」が常に側にある世界観。
『P4』や『P3P』から入った人の持つ、ポジティブなイメージ。
根強いキャラ人気。
ネタを盛り込んで楽しむお遊び要素。
映画はこれらの要素を、バランスよく配合しました。
来場者特典でビックリマンシール作っちゃったりするのも、今だからこそのノリの良さです。

見ている側も7年経てばイメージまるくなるものです。仲間目線から保護者目線に、あるいは卒業写真見てるような目線に変わります。
今回に限って言うと、全キャラ前向きに、成長の余地を残して描かれているので、見終わってすごくホッとするんですよ。
キタローよかったね、頑張って育ったね!みたいな描写が随所に入っています。順平が擦り寄るときの「近い」というぶっきらぼうなしゃべりも、空虚さと言うより、未成熟な子供のように演じられています。
僕が年を取ったからなんですかねえ。いやあ、キタローかわいいですよ。

「懐かしいなー」というゲームプレイ記憶を刺激する要素は、ふんだんに入っていますので、期待してください。
「てれってってー」がちゃんと残されていたり、ゆかりっちが空気詠み人知らずだったりするだけでニヤけます。
そのうち真田先輩が戦闘中にタルンダばっかり使ったりするかもしれません。次は「なるほどなー」も聞きたいなあ。

今回は山岸風花が出てくるところまで。天田もコロマルもアイギスも三人組も、まだ全く本編には絡んで来ません。
「後光の紅茶」「グルメキング」「オクトパシー」など、とにかく小ネタも多いです。細かい部分まで飽きさせない、盛りだくさんな作りです。
映画展開の一発目としては、かなりの好スタート。7年の重みを背負って、明るさと暗さのバランスが取れています。
今後のバランス感にも、期待しちゃいますよ。

にしても、これにあわせて『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』(P4U2のこと。タイトル長いよ!)に『ペルソナQ』や『ペルソナ4ダンシング・オールナイト』、そして『ペルソナ5』と怒涛のペルソナ攻勢が始まります。舞台版『ペルソナ3』ではハム子も出ます。
映画版『ペルソナ3 THE MOVIE #2 Early Summer』は2014年夏公開。
どんだけ出るんだよ! 楽しみじゃないか。

とりあえずは映画見終わるとテンション上がりますので、エアガンを額にお当てになって、ペルソナごっこするのなどいかがでございましょうか。
ベルベルベールベルベットー。

(たまごまご)