札幌の飲食店を紹介するマンガ冊子「札幌乙女ごはん。」が面白い。ただの紹介じゃなく、29歳独身彼氏と別れて傷心中のウブな貧乳OL小田早織の生活を追っていくことで、食に癒やされるマンガに仕上がっています。手に入りにくいですが、何とか読んでみてください。

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こんにちは、エキレビ北海道特派員のたまごまごです。

札幌といえば「美味しいものが多い」というイメージがあると思います。ラーメン、スープカレー、海鮮……。
その魅力を伝えるべく、札幌の商工会議所がマンガ冊子『札幌乙女ごはん。』を刊行しました。
札幌乙女ごはん。

とまあ、ここまでなら割とよくある話なんですが、中身の「よく分かってる」感がすごいのでご紹介。

ヒロインの小田早織は、札幌の旅行会社に勤務する29歳・貧乳。
なんでや!貧乳関係ないだろ!(1ツッコミ)
1ページ目で、6年間付き合った彼氏にフラれます。
はやいよ!(2ツッコミ)
慌てた彼女、人生初の合コンに行きます。
29で初合コン! 上司にそれ言っちゃ複雑な気分になるよ!(3ツッコミ)

もうページごとにツッコミ入れないと追いつかない。
描いているのは札幌在住の漫画家、松本あやか。
この人、食マンガを描く時どうやれば面白くなるかよく把握しています。

まずアラサー独身OLという設定。
今アラサー女子キャラ人気高まり続けています。男女ともに読者年齢が上がっているからでしょうか。
少女漫画タッチで、女性目線の「いい男いないかな」という傷心が描かれるのですが、これが全くイヤミがない。
29歳にして、純真な少女みたいなキャラしています、小田早織。
彼女の友達の叫びもいい。「いい男いねー! いても既婚者彼女持ちー! AHー!」
なんのマンガだ!とつっこみたくなりますが、食マンガでこういうハングリーな感覚は必須です。物足りない心を癒やすのが美味しいものですから。

彼女が向かう先が、ノルベサ(札幌の街のどまんなかにある観覧車とショッピングモールがくっついた建物)というのが、札幌在住の人なら「あー」というスポット。
ぼくみたいな人は二階のまんだらけに行きますが、主にオシャレな女性やカップル層がよく行く場所。
そこのカラオケマッシュによったあとに、札幌ラーメン横丁の弟子屈ラーメンで心を癒やす。
弟子屈ラーメンは確かにラーメン店として有名ですが、彼女がなんでそこに入るまでの過程がしっかり描かれている。
そしてラーメンの描写のうまさ。チャーシューがホロロとしており、美味しそうなものをちゃんと描いている。

確かに札幌の美味しいお店紹介本です。しかしストーリー重視で、単なるパンフじゃない。
シリーズ化したら「食マンガ」の作品群に引けをとらないと思います。
2巻も来年春には出版されるそうで、29歳の彼女が恋愛できるのか気になって仕方ない。
個人的にはもうしばらく、独身な食べ物ライフを見たいところです。

手に入るのが札幌の一部の書店と、新千歳空港のアニメイト(!?)なのが惜しい。
サンプルは公式ページにも載っています。

一冊105円。道内の知り合いがいる方は買ってきてもらってください。
北海道みやげにどうぞ。

(たまごまご)